著者
石井 邦英
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.43-52, 1987-01-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
20

常習飲酒家肝障害200症例の組織学的分類を行い,各病型別に,断酒後の肝機能の推移・背景因子・個々の組織所見・アルコールで変化した肝細胞膜に対する血中抗体(以下,ア-肝細胞膜抗体)の出現頻度などについて比較検討した.常習飲酒家肝障害で組織学的に慢性肝炎の像を呈した例(以下,常習飲酒家慢性肝炎)のうち,特に活動型の症例は,断酒後血清トランスアミナーゼ値の異常が持続する頻度が高く,病歴上,肝炎ウイルスの関与した症例が多い.組織学的にもpiecemeal necrosis・円形細胞浸潤などウイルス性慢性肝炎を思わせる所見が,有意に高頻度で認められた.また,常習飲酒家慢性肝炎例では他の常習飲酒家肝障害と比べて1日の平均飲酒量は少なく,断酒早期の血清中のア-肝細胞膜抗体の出現頻度も10例中3例30%と最も低く,その成因として,免疫学的機序の関与よりもむしろ,肝炎ウイルス関与の可能性が強く示唆された.

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