著者
関 なおみ
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.395-399, 2003-05-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
17

近年わが国において成人集団における集団感染リスクは増加傾向にあるが, これらの事例は感染経路の同定が難しく, 予想外に感染が拡大している可能性があり, 対応に苦慮することが多い。今回当保健所が経験した中小企業での集団感染事例について, 対象年齢を60歳未満まで引き上げたツベルクリン反応検査 (以下, ツ反), 換気測定, 聞き取り調査等をもとに検討した。初発患者は38歳男性で病型班bII3pl, 喀痰検査はGaffky8号, 培養+ (INH耐性) であった。調査対象の事業所は2・7階に分かれ職務内容ごとに配置が異なっていた。30歳未満を対象としたツ反により, 両階合わせて感染者3名, リンパ節結核1名が発見された。このため, 対象年齢を60歳未満まで引き上げツ反を実施したところ, さらに13名が感染の疑いと判断された。当初の情報では, 初発患者の出入りは2階のみで7階職員との接触はほとんどないとのことであったが, 現場視察と聞き取り調査等から感染状況が推測された。都市部中小企業職員はデインジャーグループに属さないが, 定期外検診において積極的な調査の重要性が示唆された。

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