著者
寺井 忠正
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.10, pp.1333-1337, 1986-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4
被引用文献数
1

ツツジ科植物に含まれる有毒成分であるGrayanotoxin(G)類は鉱酸に対して不安定であり,従来これらのアセタール化には無水硫酸銅が助剤として用いられてきた。本実験において,Cu(II)にかぎらず,Ce(IV),Fe(III),Ni(II),Sn(II)などの硫酸塩でもアセタール化が進むことがわかった。 そこでモデル化合物としてcis-1,2-Cyclohexanediolを用い,種々の硫酸塩について定性的にアセタール化の可否を調べた。一方,G-II,G-IIIの場合二,三の脱水反応をともなうが,各種硫酸塩を用いた場合の反応経過をTLCによって調べ効率のよいアセタール化条件の検討および,これらの反応の図式について考察を行なった。各反応速度は硫酸塩によって差異はあるが,相対的にC-10-OHの脱水はもっとも速ぐ,つぎにC-5-OH,C-6-OHのアセタール化,C-16-OHの脱水の順となっている。G-IIIアセタールを得るためには硫酸ニッケル(II)を用い65.0℃,30分間,G-IIアセタールを得るためには,硫酸鉄(III)あるいは硫酸ニッケル(II)を用いて70~100分間反応させるのが適している。

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J-STAGE Articles - 各種硫酸塩を助剤とするGrayanotoxinII,IIIおよび1,2-Cyclohexanediolのアセタール化 寺井 忠正 大阪工業大学工学部応用化学科 日本化学会誌(化学と工業化学) 1986 年 1986 巻 10 号 p. 1333-1337 https://t.co/1PBtxqIvQl

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