著者
石井 洋
出版者
帯広大谷短期大学
雑誌
帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1-6, 2014-03-31 (Released:2017-06-16)
参考文献数
16

牛の乳成分組成は泌乳期の進行にともなって変動し,特に初乳期には顕著に変化する.本研究では,近年のホルスタイン種高泌乳牛の分娩後7日間の初乳乳量,乳成分組成を経時的に調査した.近年、1乳期の生産乳量は経産牛平均で9000kg前後までに達し,これを1930年頃と比較すると2〜3倍の増加である。しかし、初乳の主要乳成分と無機質成分の含量とその変動傾向は1930年頃とほとんど同じであり,変化が少ないことが確認された.乳中尿素窒素とクエン酸は,分娩直後にそれぞれ常乳期の9倍または2倍以上になっているが,その後急減し,乳に移行する血液成分の量の変動に影響されていると考えられた.これらの成分の変動から,多量の血液成分の乳への流入は,おおむね分娩後18時間で抑制されるものと推察された.また,氷点降下度は初乳成分の著しい変動にも係わらず,一定の狭い範囲で安定していることが認められた.氷点降下度と浸透圧が正の相関にあるため,乳の浸透圧が一定水準になるように微量成分のバランスが保たれていると考えられた.

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