著者
古川 安之
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.24, no.8, pp.899-907, 1992-08-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
55

交感,副交感神経は心臓にも分布し,心臓機能を調節している.ここでは心臓内の交感,副交感神経の分布様式の差異と心臓内の自律神経刺激が洞調律と房室伝導に与える影響について解説を試みた.洞調律と房室伝導を調節する副交感神経節が心臓外膜側に独立して存在することが示されたことから,我々は麻酔犬を用い,直接それぞれの副交感神経節前線維を電気刺激する方法を開発し,洞調律と房室伝導に対する副交感神経刺激の作用をそれぞれ独立して観察した.さらに,洞調律と房室伝導に対する副交感神経興奮の相互作用を検討し,副交感神経興奮による房室伝導時間の延長が方法のいかんに拘らず洞周期の延長によって短縮されることを示した.また,心臓内の一部の交感神経を刺激することによって洞調律あるいは房室伝導時間を選択的に直接短縮できることを示すとともに,房室結合部調律のような補充調律も一部の交感神経の興奮によって惹起できることを示した.さらに,左右からの迷走神経は心臓内副交感神経節を介しそれぞれの神経節が1:1の対応で洞調律あるいは房室伝導を調節しており,交感神経の多重支配とは異なることを示し,解説した.

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