- 著者
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伊藤 真人
- 出版者
- 日本口腔・咽頭科学会
- 雑誌
- 口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.2, pp.91-96, 2019 (Released:2020-06-10)
- 参考文献数
- 9
小児の閉塞性睡眠時無呼吸症(obstructive sleep apnea:OSA)に対する口蓋扁桃摘出術+アデノイド切除術(Adeno-tonsillectomy)は,有効な治療法として広く施行されている.しかし,従来法の手術には術後出血のリスクや,術後の強い痛みによる食事摂取の遅れ,不十分な切除による症状の再発などの問題が指摘されてきた.特に術後出血は時に生命予後にも関わる場合もあることから,Adeno-tonsillectomyは外保連難易度Bランクの基本的な手術ではあるが,患者・術者ともにストレスのかかる手術でもある.
近年,マイクロデブリッターシステムなどのパワーデバイスを用いた口蓋扁桃・アデノイド切除術(Powered Intracapsular Tonsillotomy and Adenoidectomy:PITA)により,従来法よりも安全確実に同等の有効性が得られることがわかってきた.本稿では,我々が行なっているPITA手術の実際を解説するとともに,その有効性と安全性,さらには問題点と今後の課題について述べる.