著者
大浦 宏照 白幡 浩志
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.151-161, 1994-05-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
27
被引用文献数
2

降雨・雪の主成分イオン濃度と気象要因との関係について考察する目的で, 多変量解析を実施した。1990年7月~1992年12月に西南北海道の室蘭および森野の2ヵ所で,「1降雨全量採取法」 により採取した湿性降下物試料に基づき, 大気汚染物質の中でも環境に対する影響が最も深刻である非海塩起源 (nss) SO42-と気象要因との関係について, 数量化理論第I類による解析を実施した。解析の結果, 各気象要因のnss SOSO42-濃度に対する寄与は, 季節, 風向, 流跡線, 降水量の順に大きくなることが明らかになった。また各流跡線毎の解析結果からに, nss SOSO42-の一部が中国南東部およびロシア東部の工業性排出物を起源とするものであると考えられた。さらに地表風向は湿性降下物の局地的汚染源の影響を示す指標として有効であることが示唆された。このように, 湿性降下物中のある特定のイオンと気象要因の関係について厳密に検討するには, 単一の要因に着目した手法に比べ多変量解析がより有効である。

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降雨・雪の主要成分イオンと気象要因との関係 https://t.co/7mGo1KtkyK >湿性降下物の主要成分イオン濃度や降下量に季節変動が認められることは多くの観測により確認 されている。 放射性物質はまさしくイオン。 福島原発事故によって高空にそれが大量にあることがラジオゾンデで確認されている。

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