- 著者
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Kazuhisa Sugimoto
Takahisa Nishimura
Takashi Kuriki
- 出版者
- FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
- 雑誌
- Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.110, pp.235-246, 2007-11-02 (Released:2008-12-12)
- 参考文献数
- 38
- 被引用文献数
-
5
10
私たちはフェノール性水酸基への糖転移反応を効率的に触媒する新規酵素を得ることに成功した。本酵素、すなわちハイドロキノン配糖化酵素はα-アノマー選択的な配糖化反応を触媒した。さらに本酵素を用いる反応は、生成物である4-hydroxyphenyl-O-α-D-glucopyranosideを非常に高い収量で得ることができ、産業的な利用に十分なレベルを充たしていた。本酵素反応によりコウジ酸やカフェ酸をはじめ多くのフェノール化合物が配糖化されたがアルコールは配糖化されなかった。さらに私たちは本酵素反応により得られた配糖体の一種である4-hydroxyphenyl-O-α-D-glucopyranoside (α-アルブチン) の応用研究に取り組んだ。α-アルブチンはヒト細胞由来チロシナーゼを強力に阻害し、その阻害活性は構造異性体である4-hydroxyphenyl-O-α-D-glucopyranoside (アルブチン) よりも非常に高いものであった。私たちは数種類のα-アルブチン配糖体とアルブチン配糖体を酵素合成した。得られた配糖体のチロシナーゼ阻害活性の比較結果から、分子の大きさとベンゼン環周辺の静電ポテンシャルがハイドロキノン配糖体のヒトチロシナーゼ阻害作用に大きく影響を与えることが示唆された。さらにα-アルブチンのメラニン生合成に対する阻害効果についても検討を行った。α-アルブチンは細胞毒性を示さない濃度域においてヒトメラノーマ細胞やヒト皮膚3次元モデルのメラニン生成を濃度依存的に抑制した。上記の結果よりα-アルブチンは有効かつ安全な化粧品用美白素材であることが示唆された。