著者
佐藤 宏之 鈴木 保宏 奥野 員敏 平野 博之 井辺 時雄
出版者
日本育種学会
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-19, 2001 (Released:2011-03-05)

イネ(Oryza sativa L.)品種コシヒカリの受精卵に,メチルニトロソウレア(MNU)突然変異原処理を行って育成された品種ミルキークイーンの低アミロース性の遺伝子分析を行った.ミルキークイーンとその野生型であるコシヒカリを正逆交雑したF1種子のアミロース含量は両親の中間値を示したが,ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF1種子よりも,コシヒカリ/ミルキークイーン由来F1種子の方が高いアミロース含量を示した.従って,ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子には量的効果があることが分かった.また,ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF2集団のアミロース含量は,コシヒカリ型とミルキークイーン型が3:1に分離し,さらにミルキークイーン/コシヒカリ//ミルキークイーン由来の戻し交雑集団のアミロース含量が,野生型と低アミロース型が1:1に分離したことから,ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子は単因子劣性であると考えられた.次に,イネのアミロース合成に関与する既知の遺伝子,wx並びにdu1,2,3,4及び5との対立性を検定した結果,ミルキークイーンにおいて突然変異を生じた遺伝子は,wxの対立遺伝子であることが示唆された.

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