著者
玉谷 宏夫 小林 勝志 高柳 敦
出版者
京都大学大学院農学研究科附属演習林
雑誌
森林研究 = Forest research, Kyoto (ISSN:13444174)
巻号頁・発行日
no.73, pp.1-11, 2001-12 (Released:2011-12-19)

1995年から1997年にかけて、滋賀県朽木村においてニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)のメス2個体をラジオテレメトリー法により追跡し、その行動特性と生息環境利用の季節変化を明らかにした。両個体とも各年の行動圏には若干の違いがみられたものの、定着性の行動圏を有しており、調査期間中の2頭の行動圏面積は1,935ha、2,550haであった。行動特性および生息環境利用は季節によって変化し、冬眠から覚めてから行動範囲を拡大する春期、その範囲内の低標高地を利用する夏期、それまでの行動圏から離れた場所へ移動する初秋期、標高の高い場所を集中的に利用する秋期、行動圏を縮小して冬眠に入る晩秋期に分けられた。行動パターンと植生の関係をみると、夏期はスギ・ヒノキ人工林に出現する頻度が高く、この時期にスギ(Cryptomeria japonica)やヒノキ(Chamaecyparis obtusa)に対して発生するクマハギ行動との関係性が示唆された。また、標高が高い場所の落葉広葉樹林での滞在と、大きな移動がみられた初秋期以降は、堅果類の結実状況が調査個体の行動パターンに影響を与えていることが推測された。

言及状況

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近畿北部におけるニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)の行動特性と生息環境利用の季節変化。 http://t.co/FkOpRZiyYq

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