著者
牧本 卓史
出版者
岡山県農林水産総合センター森林研究所
巻号頁・発行日
no.27, pp.73-82, 2011 (Released:2013-10-08)

マツノマダラカミキリの捕食寄生者であるサビマダラオオホソカタムシを松くい虫の天敵防除資材として活用する方法を検討することを目的とした研究を行った。和気町のアカマツ林に約1haの試験地を設け,3年間継続的にサビマダラオオホソカタムシを放飼した時の放飼効果と被害の推移を調べた。その結果,周囲にマツノマダラカミキリの発生源となる被害マツ林が存在するこの試験地においては,試験期間を通じて被害率は10%前後で推移し,被害を低減させることはできなかった。しかし,サビマダラオオホソカタムシの放飼により当該林分からのマツノマダラカミキリの脱出数を抑制し,サビマダラオオホソカタムシを徐々に定着させることで,試験地内のマツノマダラカミキリの穿入数や脱出数が減少する傾向が認められた。一方で,マツ材線虫病による枯死率はほぼ横ばい状態が継続していることから,サビマダラオオホソカタムシを活用した松くい虫の防除には,本種による駆除効果をさらに向上させる技術を確立することと併せて,周辺マツ林からのマツノマダラカミキリの飛来数を抑制するための緩衝帯を設けること等,既存技術との複合的な利用技術を確立し,マツノマダラカミキリの生息数をさらに低減させる方策を検討する必要があると考えられた。

言及状況

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編集者: X-enon147
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