著者
堀部 篤 伊藤 亮司
出版者
東京農業大学農業経済学会
巻号頁・発行日
no.124, pp.23-35, 2017 (Released:2017-08-03)

2009年の標準小作料制度廃止後,円滑な地代交渉を行うために,公的機関(農業委員会や市町村など)が先導して,従来の標準小作料に変わる参考賃借料を算定・公表している地域がある。本稿では,その中でも2014年産米価格の下落を受けて参考賃借料制度を導入した新潟県村上市を対象に,当制度の導入に至る過程および公的機関の果たした役割について考察した。村上市において当制度が導入された要因としては,(1)地代負担が過重だったこと,(2)特に深刻な地域で制度導入の実績をつくり,それを他地域に波及したこと,(3)行政による支援があったことが明らかとなった。また,当参考賃借料制度の導入の効果については,地代の低下と,地代の統一による担い手間の借地交換や畦畔除去による圃場大区画化が確認された。

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