著者
今野 宏
出版者
日本応用糖質科学会
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.90-97, 2019 (Released:2019-10-11)

アミノ酸度と清酒の品質の間には負の相関がある。米の主要な蛋白質はグルテリンである。これが麹の蛋白質分解酵素で分解されてアミノ酸になる。アルギニンは清酒中のアミノ酸の中では2番目に多い。アルギニンは苦味を呈して後味が悪く清酒中のアルギニン含有量の低下は品質向上に有効であるので,グルテリンを基質とした総合ペプチダーゼ活性測定法を開発し,醸造適性の優れた麹菌株をスクリーニングし,アルギニンを対照酒に比べて10分の1まで低減化させた。味噌には多くの生理機能が知られており,抗変異原性物質もその一つである。これらの抗変異原物質の生成や構造変化には麹菌の生成する酵素が密接に関与する。味噌抽出液の抗変異原性をAmes試験のプレインキュベーション法によりスクリーニングしたところ,AOK139を用いた抽出液の50%阻害濃度は対照株での値の1/3となり,有意な差が確認された。抗変異原性については脂質分解との関与が認められ,高いリパーゼ活性及びその分解物である遊離脂肪酸及び脂肪酸エチルエステルの生成が認められた。

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