- 著者
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今村 隆寿
- 出版者
- JAPANESE SOCIETY FOR BACTERIOLOGY
- 雑誌
- 日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.3, pp.499-516, 2000-08-25
- 被引用文献数
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3
1
細菌プロテアーゼとして, 新たな構造と機能が見い出された歯周病の主要な原因菌 <i>Porphyromonas gingivalis</i> のトリプシン様システインプロテアーゼ gingipains を紹介する。Gingipains は3種の遺伝子 (<i>rgpA, rgpB, Kgp</i>) から産生される variants であり, そのペプチド結合切断特異性からは Arg-Xaa を切断する gingipains R (<i>rgpA</i>と<i>rgpB</i>由来) とLys-Xaaを切断する gingipain K (<i>kgp</i> 由来) に分類される。HRgpAとKgpは触媒ドメインと赤血球凝集/接着活性ドメインとの複合体である。他に, gingipains Rには触媒ドメインのみの型とこれに多糖体が結合した膜型がある。Gingipains は <i>P. gingivalis</i> のハウスキーピングだけでなく宿主への感染や宿主防御機構からの回避にも重要な役割を果たす。Gingipains は <i>P. gingivalis</i> の病原性と密接に関連し歯周病の発症・進展に関与しているので, 歯周病予防・治療法開発のターゲットとして有用である。