- 著者
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柿木 嘉平太
橘 良哉
米島 博嗣
荻野 英朗
里村 吉威
鵜浦 雅志
三輪 淳夫
平松 活志
中沼 安二
- 出版者
- The Japan Society of Hepatology
- 雑誌
- 肝臓 (ISSN:04514203)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.10, pp.546-550, 1999-10-25
- 被引用文献数
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3
症例は45歳の男性. 1995年2月1日に慢性骨髄性白血病に対して同種骨髄移植を行い, 急性移植片対宿主病合併のため免疫抑制療法を受けていた. 症状は軽快し, 一時退院となったが, 6月22日 (移植後141日目) 肺炎を発症し再入院となった. 7月30日より前額部に水疱性皮疹 (皮膚生検で単純ヘルペス感染 (HSV) と診断) が出現した. このときALT2394IU/<I>l</I>, AST21031U/<I>l</I>とトランスアミナーゼの急上昇を示す肝障害を認め, 血小板数2.4万/μ<I>l</I>, FDP61.3μg/d<I>l</I>とDICの合併も認めた. 8月5日, 肺炎の増悪による呼吸不全により死亡した. 剖検では, 肝小葉中心性に出血性凝固壊死を認め, HSV-2のポリクローナル抗体を用いた免疫染色からもHSV-2感染による肝障害と推察された. 免疫能の低下した宿主においては, HSV感染により重症肝炎を呈する場合があり留意すべきと考えられた.