- 著者
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中瀬 安清
- 出版者
- 日本細菌学会
- 雑誌
- 日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.3, pp.637-650, 1995-07-25
- 参考文献数
- 58
- 被引用文献数
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北里柴三郎が1894年(明治27年),香港のペスト流行に際し,A.J.E.Yersinとほぼ同時にペスト菌を発見してから百年になる。これを記念して,北里は当時どの様な状況下で,どの様にしてペスト菌を発見し,どの様に始末したか等に就いて述べた。先ず北里と青山胤通がペスト調査員として香港派遣に至るまでの経緯に就いて考察した。次に香港上陸後,北里が悪条件の中,ラボの設定,病原検索の確固たる方針に基づく,死体臓器と患者血液の鏡検,培養,動物試験によって,着手4日目でペスト菌を発見した経過,その公表方法,また,実験室内感染した青山と石神亨のペストへの対応と適切な処置,帰国後の始末等に就いて述べた。さらに,その5年後に始まった国内のペスト流行に際し果した,検疫,血清とワクチンの作成,接種の普及,防疫等の指導的役割,並びに,ペスト防疫での国際協力に就いて要約した。北里と門下生の論文数から見てもペストの研究は伝染病研究所設立後の北里の最重要の業績と言える。