著者
勝谷 範敏 池田 好伸
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.121-131, 1997-06-15
被引用文献数
10 7

デルフィニウムを毎月上旬に播種し,定植後は年間を通じて無加温室で栽培し,開花反応の季節的変動を調べた.また,花芽形成過程を観察し,分化と抽台の関係などを検討した.さらに,ファイトトロン内で温度が抽台および開花に及ぼす影響,ならびに自然日長条件で加温栽培した時の抽台に関する品種の特性を検討した.<BR>1.無加温ハウスで栽培すると,デルフィニウムの花芽分化はほぼ周年にわたって認められ,広い温度域で分化した.播種から花芽分化までの期間は,定植後から高温となる時期は短く,定植後から気温が低下する時期は長くなり,花芽分化は高温によって著しく促進された.<BR>2.20°C以上の高温では幼若期が短縮され展開葉が5枚になると抽台を開始したが,15°Cでは幼若期が著しく延長されるとともに,ほぼ半数は抽台しないでロゼット状態となった.<BR>3.節数と小花数の相関は高く,定植後から高温となる3~7月播種は低節位で小花が分化し,小花数が少ない貧弱な花穂であった.定植後から低温となる8~2月播種では節数が多く,小花数の多いすぐれた切り花が得られた.<BR>4.低温は花芽分化を誘導するバーナリゼーションとしてではなく,ロゼット打破として作用した.すなわち,生長活性が回復して高くなり,生育できる低温の限界温度を拡大させるものとして作用した.<BR>5.デルフィニウムは花芽分化に伴って抽台を開始し,抽台時にほぼ小花数が決定されるので,品質の劣る早期抽台苗を早期に判別することができる.<BR>6.冬季に自然日長で加温栽培すると,品種によってはロゼット化する株が多く発生し,ロゼット化すると抽台が遅れるとともに,後になって抽台した花穂は奇形化して商品性がなくなった.

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