- 著者
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宮西 孝則
- 出版者
- JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
- 雑誌
- 紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.9, pp.1186-1196, 1999-09-01
埋め立て地が不足するという危機感から, 米国では1990年前後に多くの外販古紙パルプ工場が建設された。しかし, 抄紙機で粘着物トラブルが発生したこと, 消費者が古紙パルプを配合した紙を高い価格で購入しなかったこと, バージルパルプの価格が低下したこと, 外販古紙パルプが過剰になったことなどにより, 古紙パルプの価格が低下し, 工場の倒産が続き, 紙, 板紙への古紙配合率は低迷している。一方, 高品質DIPを生産するためにますます機器の数は増え, DIPプラントは複雑になってきた。デスパージョン, ニーダー, フローテーション, 漂白は多段になり, 設備, 保守, 運転エネルギーの費用が増加している。技術論文の多くは理論ではなく, トライアンドエラーの経験に基づいて書かれており, 機器を増やす傾向がある。そこで機械設備だけでなく, 界面化学の観点から, 白水中のインクと粘着物の挙動についての基礎的な理解が求められている。DIP工程から抄紙機ウエットエンドへのアニオントラッシュのキャリーオーバーを防ぎ, DIP工程とウエットエンドにおいて界面化学の観点から最適な処方を行うことが肝要である。