著者
森脇 寛
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.115-122, 2001-09-25
参考文献数
11
被引用文献数
5 5

新しく滑動し始めた地すべり斜面の崩壊危険度を評価するための指標として主滑落崖における地表面移動量に着目し, その有効性を検討した。降雨装置を用いた崩壊実験により, 地表面移動量がある限界を越えると崩壊を生じる, つまり限界移動量の存在を明らかにした。次に, 既往の崩壊実験ならびに現地観測資料を用いて, 崩壊に至るまでの限界移動量を解析し, 限界移動量は崩壊源の斜面長に比例すること, ならびに限界移動量を崩壊斜面長で除した限界ヒズミはおよそ0.006~0.02の範囲に収まることを明らかにした。この限界ヒズミの範囲をもとに, 現場斜面における地表面のヒズミが0.003以下を前兆領域, 0.003~0.006の範囲を警戒領域, 0.006~0.02の範囲を破壊領域, 0.02以上を完全破壊領域として4つに区分けし, 危険度評価を行う手法を提案した。次いで, この指標を用いた現地地すべり事例への応用例をいくつか示した。また, 過去に滑動した形跡を示す地すべり地形の評価にも有効であることを示した。

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