著者
森脇 寛智 川下 理日人 田 雨時 高木 達也
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第39回ケモインフォマティクス討論会 浜松
巻号頁・発行日
pp.Y4, 2016 (Released:2016-09-22)
参考文献数
13

定量的構造-活性相関では、化合物の構造からその特徴を表す記述子を算出し、重回帰分析などにより予測モデルを構築する事が広く行われている。そのため、記述子を計算するソフトウェアは商用、非商用を問わず多く開発されている。PaDEL-descriptorは300回以上引用されている著名なソフトウェアで、多くの記述子を算出できる。そのため、我々も使用してきたが、これには多くの不具合が存在する事を見出した。また、最近では、特にニューラルネットワークにおいてPythonを使用して機械学習を行なう事が多くなってきている。これらより、我々は記述子計算ソフトウェアであるMordredを開発した。これはPython2/3両対応のモジュール、Command line Interface、ウェブアプリケーションから使用可能で、約2,000の記述子を算出できる。MordredはBSD3ライセンスで配布している。
著者
八反地 剛 森脇 寛
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
日本地すべり学会誌 : 地すべり = Journal of the Japan Landslide Society : landslides (ISSN:13483986)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.45-51, 2011-01-25
参考文献数
21
被引用文献数
3

神奈川県・静岡県の丹沢地域および箱根地域の地すべり地形分布図を用いて地すべり斜面の地形解析を行ない, 各地域の等価摩擦係数 (以下H/Lとする) , 土塊の拡散性の違いについて議論した。いずれの地域においても, 地すべりの規模 (発生域の面積) とH/Lの関係は不明瞭で, H/Lは発生域の斜面勾配に比例する傾向が明瞭であった。また, 箱根地域における斜面勾配とH/Lの比例関係から得られたH/Lの予測下限値が, 箱根地域で発生した早雲山地すべりのH/Lの実測値とよく一致し, 地すべり地形分布図から得られるH/Lの予測下限値の有用性を確認した。地すべり地形斜面の発生域と流下堆積域を含む全体の面積と発生域の面積の比 (土塊拡散率) は多くの地すべりで1. 0から2. 0の範囲にあったが, 箱根地域では2. 0を超える地すべりが3例あった。箱根地域は丹沢地域に比べてH/Lが小さくなりやすく土塊拡散率が高いことから, 地すべり災害が発生した場合被害が拡大しやすいことが予想される。
著者
森脇 寛
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.115-122, 2001-09-25
参考文献数
11
被引用文献数
5 5

新しく滑動し始めた地すべり斜面の崩壊危険度を評価するための指標として主滑落崖における地表面移動量に着目し, その有効性を検討した。降雨装置を用いた崩壊実験により, 地表面移動量がある限界を越えると崩壊を生じる, つまり限界移動量の存在を明らかにした。次に, 既往の崩壊実験ならびに現地観測資料を用いて, 崩壊に至るまでの限界移動量を解析し, 限界移動量は崩壊源の斜面長に比例すること, ならびに限界移動量を崩壊斜面長で除した限界ヒズミはおよそ0.006~0.02の範囲に収まることを明らかにした。この限界ヒズミの範囲をもとに, 現場斜面における地表面のヒズミが0.003以下を前兆領域, 0.003~0.006の範囲を警戒領域, 0.006~0.02の範囲を破壊領域, 0.02以上を完全破壊領域として4つに区分けし, 危険度評価を行う手法を提案した。次いで, この指標を用いた現地地すべり事例への応用例をいくつか示した。また, 過去に滑動した形跡を示す地すべり地形の評価にも有効であることを示した。