- 著者
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李 〓貞
佐藤 昌子
- 出版者
- 一般社団法人日本色彩学会
- 雑誌
- 日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.3, pp.131-140, 1999-09-01
- 被引用文献数
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3
異なる織構造の布間の違いを視覚によって識別するメカニズムについて, 糸, ならびに, 製織布を用い反射光の光学的分析から検討した。試料布は、反応性染料で染色し, その糸を用いて手織機で製織し, 系統的に作製した。30試料布を実験に用いた。色は, 赤, 緑, 青, 紫のそれそれ明度の異なる2水準および1水準の黄と白で, たて糸, よこ糸の打ち込み数がそれそれ6本/cmの3種の織絹織(平織, 綾織, 朱子織)である。反射光特性を変角分光測色計, 及び, 変角光度計を用いて測定した。また、画像処理装置を用い、布表面の一定面積当たりの明部分と暗部分の面積分布を測定した。さらに, 布サンプルに対して8項目の形容詞対を用い一対比較による視覚官能評価を行った。その結果は次の通りである。1)同じ糸から織られた布であっても反射光特性は測色の規定条件において布の製織方向の影響を受ける。2)布の表面色はたて糸, よこ糸の出現頻度によって変化する。3)テクスチャーの違いは布表面の垂直面に対し受光角度を小さくするよりも大きくした方が判定しやすい。4)布の「相い-細かい」, 「厚い-薄い」などのテクスチャーの違いは表面を視るだけで反射光特性から推測しうる。