著者
山田 雅子 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.73-85, 2004-06-01
参考文献数
9
被引用文献数
8 or 0

顔から性別を判断する際、最も有用な手がかりとなるのは形態的情報である(Bruce et al.,1993)。本研究は肌色や唇色といった色彩にも同様にその判断を左右する効果があるということを明らかにした。第一実験においては性別が曖昧な2種の線画(男性平均顔・男女平均顔)を用い、各々2タイプの肌色(色白・色黒)、2タイプの唇色(唇色なし・薄紅)を設けた。139名の被験者には各刺激に対する性別判断と丸みの判断を課した。その結束、男女平均顔においては色白肌が女性判断を促し、更に、肌色が明るい場合には有意に丸みの判断が高まることが分かった。更に第二実験ではコンピュータで合成された顔3種を素材とし、男性-女性、色黒-色白の2軸について0から100の数字による評定を課した。各パタンにっき5段階の明度レベル、2段階の唇色パタンを設け刺激として準備した。肌の色が明るく感知された場合には、同じ造作であってもより女性的に捉えられる傾向が得られた。また女性的形態が伴う場合には肌色の評価が明るい方向に有意に偏る傾向が得られた。つまり、主観的に判断される性別と明度とは不可分の関係にあり、物理的に等価であっても付帯する色情報及び形態情報によって両者は強く支配されていると言い得る。
著者
盛田 真千子 香川 幸子
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-12, 1993-05-01
被引用文献数
4 or 0

慣用色名は誰にでも理解され, 色が想像できるものでなければならないのだが, 時代変化の激しさと, 多様化, 個性化の進展している社会のなかで, 認識が必ずしも一致するとは限らない。そのため, 色名かどのように認識されていろか, また, その認識に影響を及ぼす諸要因について, 若年層の男子に調査を実施し, 第1報, 第2報と比較検討した。若年層の男子においては, JIS Z 8012から選出した105語の慣用色名で, 認識がされている色名は53.3%, 認識があいまいな色名は18.1%, 認識がされていない色名は28.6%であった。被調査者の生活意識の因子分析では7因子が抽出され, 因子の構造に男女間で差がみられた。男子は女子より, 経済や外国の文化に関心が高く, 手工芸には関心は低い傾向にあった。男子の色名の認識度は, JIS S 6028, JIS S 6026, JIS S 6006などの顔料に直接, 記名されてある色名で, 認識が高かった。女子は男子より色名の色を正確に把握し, 色名も多く認識していた。これは, 女性の服装色や色に対する関心が高いことが, 影響していると考える。また, 文化や生活環境と深く結びついた色名が, 高い認識につながり, 暖色系統の色名は, 寒色9紫系統の色名より認識されやすい傾向が, 男子の調査でもみられた。
著者
小林 光夫 吉識 香代子
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.249-261, 2001-12-01
被引用文献数
1 or 0

PCCS(Practical Color Co-ordinate System)は, 色彩調和を考慮した表色系である.PCCSは, 色相, 明度, 彩度という三属性による色表現のほかに, 配色に有用な"トーン"の概念をもっている点に特色がある.しかし, PCCSのトーンと三属性値との対応は, いくつかのトーン代表色でしか与えられていないし, 他の表色系との関連も明確でない.また, PCCSの色票集の色票の数が少ない.これらの理由で, PCCS利用の範囲は狭められている.われわれは, PCCSの各トーン代表色におけるPCCS三属性値とマンセル三属性値の関係を分析したところ, PCCS-マンセル間の簡明な数学的関係を見出すことができた.また, この関係を利用し, 相互表色値変換のアルゴリズムを構成した.さらに, トーンを表わす色相に依らない座標系を, PCCS三属性値からの簡単な線形変換という形で, 構成することができた.この結果, 任意のマンセル表色値に対し, PCCS三属性値およびPCCSトーンを計算することが可能となり, PCCSの利用範囲の拡大が期待される.
著者
三浦 久美子 堀部 奈都香 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.74-84, 2008-06-01
被引用文献数
4 or 0

本研究では、色彩の持つ印象及び気分の作用を整理し、色彩に対する調和香を検討することを目的とした。実験は、100名(男性42名/女性58名)の対象者に、18色のカラーカード(3トーン、5色相の有彩色及び3色の無彩色)の印象評定(SD法)及び気分評定を課すと同時に、各色彩に対する8種の香り(シナモン、ペパーミント、バニラ、ローズマリー、レモン、アニス、ペッパー、 ローズ)の調和度を評定させる(4件法)という手続きによって行われた。色彩の印象評定及び気分評定、各々の結果に対しクラスタ分析を施し、18色を分類した結果PALE系(ペールピンク、ペールイエローなど)、COOL系(ペールスカイ、ビビッドグリーンなど)、VIVID系(ビビッドレッド、ビビッドイエロー)、DARK系(ダークレッド、オリーブなど)、MONOTONOE系(ダークブルー、ブラックなど)の5クラスタに分類された。これらの各クラスタに対する調和香を検討した。その結果、概して、PALE系にはバニラ、COOL系にはペパーミントやローズマリー、VIVID系にはレモン、DARK系にはシナモンやローズ、MONOTONOE系にはペッパーやアニスが調和する傾向が得られた。
著者
張 粤 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.328-337, 2005-12-01
被引用文献数
1 or 0

共産主義の政治色としての赤は、今日相変わらず中国の最たるイメージ色であり続けている。本研究は現代の中国人学生の赤のイメージに対する解釈を試みたものである。本研究は中国の北京、武漢、杭州、重慶の4つの地域において、536名の大学生(男性294名, 女性232名)に対し、赤系色票を提示したうえ、赤に対する認識、赤に対する嗜好、赤い物の所有状況、赤からの連想語、日中のイメージ色、色彩に対する態度などに関するアンケート調査を行った。その結果、中国人学生は赤を嗜好する傾向が見られた。彼らにとって、赤は伝統、政治、機能などの意味が込められる色であることが分かり、特に、代々受け継がれてきた伝統の「めでたい」意味が強く赤の嗜好を左右することが分かった。また、文化交流と時代の影響で赤が持つ意味も変化してきていることが示唆された。
著者
呂 清夫
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.4-12, 1998-02-01

バーリンとケイ(B.Berlin & P.Kay)の色名進化論によれば, 標準中国語(Mandarin)には基本色名が白, 黒, 紅, 黄, 緑, 藍の6種類しかないから,日本語, 韓国語(Korean), 広東語(cantonese)などに比して発展が遅れたことが力説されている。本研究は主に色名が存在する歴史的文献によって, バーリンとケイの色名進化論にある標準中国語についての問題点を明らかにする。つまり標準中国語の起源である古代中国語には, 西暦紀元前にすでに11種類以上の基本色名が存在していた。そして中国語にある色名の発展が他の民族の色名進化状態ともあまり変わらないことを明らかにした。
著者
齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-10, 1992-05-01
被引用文献数
17 or 0

日本における色彩嗜好研究の中で「白」に対する嗜好は近年比較的安定した傾向と考えられている。本研究では, 日本での色彩晴好を, 地理的にも文化的にも近い韓国と比較してみた。調査は東京 (100名) とソウル (99名) の被験者に対し, 同一の65色からなるカラーチャートを呈示し, 好きな色 (嗜好色) と嫌いな色 (嫌悪色) を3色づつ選択すると同時に選択理由も明らかにしてもらうという方法により実施した。選択された色に対しては, 両国の嗜好色と嫌悪色における一般的な嗜好順位を比較し, 色相別・卜ーン別に傾向を検討した。更に両者の嗜好傾向の特徴を明らかにするために双対尺度法 (DUAL-SCALING) による分析を施し, またX^2検定により有意差を検討した。その結果, 「白」や「ビビッドブルー」は両国に共通して好まれるものの, 色相やトーン別に検討した場合, 好みの傾向には交叉文化的な違いがあることが明らかとなった。
著者
苧阪 直行 池田 尊司 Naoyuki Osaka Takashi Ikeda 京都大学大学院文学研究科 京都大学大学院文学研究科 Department of Psychology Graduate School of Letters Kyoto University Department of Psychology Graduate School of Letters Kyoto University
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 = Journal of the Color Science Association of Japan (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.197-203, 2006-12-01
参考文献数
27

視覚的に呈示された色情報の短期的保持が言語(言語的ワーキングメモリ)に依存するのか、あるいは視覚(視覚的ワーキングメモリ)に依存するのかは、当該色が色カテゴリーの境界をクロス(跨ぐ)するかしないかで異なるというモデルを提案した。機能的磁気共鳴脳画像法(fMRI)を用いて、代表的なワーキングメモリ課題であるNバック課題を導入してモデルを検証した。色の記憶における言語と視覚のワーキングメモリの寄与について検討した結果、基本色名で定義される色カテゴリーをクロスする条件では、左半球の下前頭回や下頭頂小葉が強く活動することがわかった。左の言語半球のこれらの領域の活性化は色の名前を音韻ループで保持する言語性ワーキングメモリが働いていることを示している。一方、同じ色カテゴリー内に留まる色差の小さい色の場合は、右半球の下前頭回が強く活動すること、つまり視覚的ワーキングメモリは視空間的スケッチパッドで保持されていることが示された。記憶すべき色刺激が左の音韻ループ(言語性ワーキングメモリ)で保持されるのか、右の視空間スケッチパッド(視覚性ワーキングメモリ)で保持されるのか、その認知負荷のバランスは色カテゴリーの境界を手がかりとした認知的方略によることが明らかになった。脳は色差に応じて色をことばであるいは知覚イメージで短期保持するのである。We proposed a model that colors could be memorized either in verbal or visual working memory depending on the color category borders. Using functional magnetic resonance imaging (fMRI), the model was tested by introducing a 2-back working memory task. We investigated the involvement of verbal and visual working memory in color memory. Colors between (cross) the categories defined by basic color names strongly activated the left inferior frontal gyms (IFG) and left inferior parietal lobule (IPL) corresponding to the phonological loop as verbal working memory, while colors within the category boarder strongly activated the right IFG corresponding to the visuospatial sketchpad as visual working memory. The choice of colors to memorize might modulated the cognitive load balance between the phonological loop and the visuospatial sketchpad.
著者
渡辺 明日香 城 一夫 児玉 好信
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.74-84, 2007-06-01
参考文献数
6

前報では、女性服装色における周期性、同調色・相反色の存在について明らかにすることができた。そこで、本報では原宿・渋谷・銀座の3地域の出現色の差異に着目しさらなる考察を試みたところ、以下のことが分かった。第一に、服装色の出現頻度は地域によって異なる。原宿ではブラック、ブルー、レッドの嗜好が高く、渋谷ではブラック、ホワイト、ブルー、ピンク、レッドの割合が高い。銀座はブラック、ホワイト、グレイ、ブラウン、カラードグレイ(アイボリー)が高く、無彩色の割合が服装色の50%以上を占めていることが特徴である。第二に、地域間の相関係数を求めた結果、原宿・渋谷は相関のある色が多く類似の傾向を示したが、銀座は相関のないものが多い。第三に、経年推移によって、類似する地域は変化することが分かった。1994年〜1998年では原宿・渋谷が類似の傾向を示すものが多く、銀座は独自な出現傾向であった。しかし1 999年以後、渋谷・銀座が類似の推移を示すものがみられ、さらに2002年以降は各地域の服装色に独立した傾向が生じている。