著者
大隈 紘子
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.195-201, 2005-03-01

わが国では近年社会的ひきこもりが増加し問題になっている.大分県精神保健福祉センターでは,2002年から「社会的引きこもり対策推進事業」を3ヵ年計画で進めている.2002年度の大分県の「ひきこもり」実態調査の結果,社会的ひきこもり件数は211名であった.このうち,30歳以上のひきこもり者が31%あり,「高年齢化したひきこもり者」が相当数いることを明らかにした.また,ひきこもり継続年数が5〜9年の者が約30%,さらに,ひきこもり継続年数が10年以上の者が約20%あり,「長期化するひきこもり者」が多数いることが判明した.本稿では2症例のひきこもり者の症例報告をした.この治療経験から,対人関係の問題を補う支援の必要性と,どんな職に向いているのかがわからない悩みには具体的な職業相談や就労支援が効果的であることがわかった.これらの悩みは現代の青年やフリーターにも共通する悩みであり,現在は青年から大人になるのが困難な時代であると感じた.

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