- 著者
-
柳谷 真由美
森 敏則
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
- 巻号頁・発行日
- vol.97, no.286, pp.41-46, 1997-09-26
- 参考文献数
- 6
- 被引用文献数
-
2
電気ケーブルからの放射ノイズの低減を狙いとして高透磁率・高損失な金属磁性箔を付加したケーブルを作製した. 磁性箔を付加することによってケーブルに生じる伝送損失の測定を行なった. その結果, 心線の外側に直接磁性箔を巻いた時の伝送損失は周波数の増加とともに増え, 300MHzにおいて最高11dB/3m となったが, アルミテープを磁性箔と心線の間に巻くことによって, 通常の磁性箔無しのシールドケーブルと同等の伝送損失となることが分かった. また, 磁性箔だけでは外側の心線と内側の心線の伝送損失の差が大きくなるが, アルミテープを心線と磁性箔との間に巻くことで心線位置による差が小さくなることも分かった. この原因としては, 心線近傍の磁界がアルミテープの渦電流損失によって弱められるため, 磁性箔がケーブル心線に付加するインピーダンスが小さくなることが影響していることを示した. また, 高透磁率・低抵抗率の磁箔を使用した場合は, 1層目の磁性体により渦電流損失・反射が起こるため, ケーブルに多重に巻き付けても伝送損失増加に対する影響は大きくないことを明らかにした.