著者
牟田 秀俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.72, pp.39-44, 2005-05-13
参考文献数
7
被引用文献数
3

計算量理論の応用法の一つにパズルの計算量を測って難しさを推定するのがある.本研究では, ぷよぷよという同じ色のぷよをくっつけて消すというパズルゲームのオフライン版を3-PARITIONからの還元でNP完全問題であることを示す.
著者
福井 隆雄 木村 聡貴 門田 浩二 五味 裕章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.407, pp.37-42, 2006-11-28
参考文献数
5
被引用文献数
1

停止しているエスカレータに乗り込む際に違和感を持つことは多くの人々が経験する現象の1つである.従来は,停止していると認識しているにも関わらず,「動いているエスカレータ用」の運動プログラムが乗り込む前から働き,予測と実際の感覚フィードバックの不一致のため違和感が生じると説明されてきた.また,最初の段差が他に比べて低いといった構造的な不均一性によって違和感が生じるのではないかとも考えられた.本研究では,稼働中のエスカレータ,停止中のエスカレータ,段差の構造をエスカレータに似せた木製階段への運動における運動学的特性を比較検討した.その結果,停止エスカレータに乗り込むまでは,「止まっているエスカレータ」として適切に認識し運動していることが示された.そして,停止エスカレータに乗込んだ後に,身体が前の方に急激に傾く振る舞いが観察された.これは,木製階段では見られず,停止しているエスカレータ固有のものであった.このことから,停止しているエスカレータに乗り込んでから,「動いているエスカレータ用」の運動プログラムが潜在的に駆動されている可能性が示された.また,違和感については停止しているエスカレータ,木製階段への運動における内観評定を行った.内観評定については,木製階段においてはほとんど違和感が生じなかったのに対し,停止しているエスカレータでは乗り込み後,違和感と相関する行動指標が同定された.違和感は構造的不均一性により引き起こされるものではないことが示された.
著者
松金 輝久 武永 康彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.405-413, 2006-03-01
参考文献数
8
被引用文献数
3

ゲームやパズルの計算量や解法に関する研究は古くから行われている.特に最近ではテトリスのようなゲームが注目を集めている.本論文では,対戦型ゲームとして広く知られるぷよぷよを,人力として初期盤面と落下してくるピース列が与えられ,ピースを落下させることにより特定の目的を達成するパズルゲームとして定式化し,その連鎖数判定問題を考える.連鎖はぷよぷよにおける特徴的な性質であり,最大の連鎖を発生させる連鎖数判定問題がNP完全であることを証明する.
著者
大森 馨子 厳島 行雄 五十嵐 由夏 和気 洋美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.483, pp.27-31, 2013-03-13

痴漢被害の報告は,視覚的情報や聴覚的情報によるものは少なく,触覚による事例が大半である。このような公共交通機関における痴漢事件や冤罪に関わる問題を原点とし,痴漢被害最多発部位である臀部に提示された手や鞄がどのように知覚されるのか,また手や鞄の動きの有無によって違いが生じるのか,さらには触判断に対する確信度について検討を行った。その結果,臀部における触判断が正答する確率は,もっとも高い条件下でも40%であり,臀部に触れた手や鞄を触覚情報のみによって正しく判断することは困難であることが明らかとなった。また,誤った回答であるにもかかわらず,チャンスレベルを有意に超えて選択される刺激条件もみられた。さらに,正答率と確信度ともに動きの有無による違いは認められなかった。これらの結果から,臀部においては提示刺激以外で触られたという判断が頻繁に生じることが示唆された。
著者
関 英男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.10-15, 1995-01-25
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
川口 就子 黒川 嵩大 白尾 彰伍 高野 佐代子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.114, no.358, pp.11-12, 2014-12-05

ツンデレ音声をツンとデレの二つの側面に分け、音響物理パラメータと各聴覚印象の関係を明らかにする.実験1では、心理量「ツン度」および「デレ度」を目的変数とし、基本周波数の平均値および標準偏差、スペクトル重心の平均値および標準偏差、時間長の計5つを説明変数としてそれぞれ重回帰分析を行った.その結果を元に実験2ではスペクトル重心について掘り下げ、スペクトル重心の最小値、最大値、平均値、中央値、最頻値、標準偏差、範囲、および時間軸を説明変数とし重回帰分析を行った.その結果、ツンデレ音声はスペクトル重心の最頻値が高い標準化係数を示した.本研究より、ツンデレ音声に対して新たな工学的指針を示すことが出来る.
著者
鈴木 和明 齋藤 豪 張 英夏 近藤 邦雄 中嶋 正之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.12, pp.2961-2972, 2008-12-01

ドット絵とは,1990年代前半までの据置き型ゲーム機や現在でも携帯型ゲーム機などで用いられる低解像度の画像の表現手法であり,その表現手法を用いて制作された画像でもある.ゲーム制作などでドット絵が大量に必要になる場合,アーティストが1枚1枚描かなければならず制作に手間がかかるため,本研究では計算機によってドット絵風のキャラクタ画像を生成する手法を提案する.ドット絵風の画像を生成するために,写真から輪郭線を抽出して,その輪郭線をもつ画像を縮小する.はじめに,抽出される輪郭線がドット絵において頻繁に用いられる形状になるように,Canny edge detectorに対してドット絵作成に特化した変更を行い,そのCanny edge detectorを用いて輪郭線画像を生成する.次に,そのような輪郭線をもつ画像を縮小するが,既存の縮小手法では,画像がぼやけたり,画像の輪郭線が途切れたり,画像の線と線が隣接し潰れてしまう問題があった.これらの問題を解決するために,輪郭線を保護しつつ縮小するアルゴリズムを提案する.これらのアルゴリズムを用いて,ドット絵風のキャラクタ画像を生成した.
著者
山根 信二 小笹 裕昌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報通信倫理
巻号頁・発行日
vol.96, no.440, pp.9-16, 1996-12-21
被引用文献数
1

「ハッカー」とはシステムに精通した人物に対する称号であり, ハッカーはネットワーク社会への貢献者でもある. しばしばハッカーは蔑視の意味でしばしば誤って使われたが, やがてサイバーテロリストをハッカーと区別するために「クラッカー」と呼ぶようになり, RFCでもその呼称が提案されている. 本論ではハッキングをセキュリティ破りではなく, インターネットやフリーソフトウェアに体現される自由と協調の精神の観点から捉える. そしてハッカーを養成する運動の現状を分析し, ハッカーの裾野が広がる意義を考察する.
著者
野村 祐基 磯村 太郎 板井 陽俊 安川 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.575, pp.7-12, 2007-03-01
被引用文献数
6

人の足音は歩き方や履物の種類,床面などの環境によって違いが現れる.足音を用いて個人を特定することができれば,セキュリティシステムの一環への利用が期待出来る.他にも,左右の足音のばらつきや歩き方を分析することにより,骨格のバランスや健康状態の推定に利用できる可能性がある.このように,足音の識別が可能となれば,様々な分野への応用が考えられる.歩行足音を用いた個人識別に関する研究は幾つか紹介されているが,従来の研究では特徴量抽出を中心に議論されている場合が多い.歩行足音は音声等と同様に時間変化する信号であり,足音が継続する時間長は非線形に伸縮すると考えられる.本稿では,収録した歩行足音に短時間フーリエ変換を施し,周波数成分のコサイン距離の総和をDPマッチングで求めるという手法を利用して個人識別を行った結果を示す.
著者
岩本 雅也 土井 幸輝 戸川 達男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.81, pp.21-24, 2006-05-20
参考文献数
7

聴覚器官は機械的構造をもつことから,熱膨張や組織の弾性率の温度特性により絶対音感(AP)に体温の影響があると考えられる.そこで本研究では,体温がAPにどのように影響するのかを調べた.純音発生器を用いてAP保持者自身の音高でA4(440Hz)に調節するように指示し,同時に耳式赤外線体温計によって鼓膜温度を測定した.その結果,被験者が440Hzと認識した周波数と体温には,限定的な期間において高い相関(R^2=0.7以上)が見られ,温度係数が約-3Hz/Kであることがわかった.このことから,極限の周波数弁別能力を達成するためには,蝸牛内の体温は約0.1Kの精度で調節される必要があると考えられる.
著者
鳥海 不二夫 篠田 孝祐 栗原 聡 榊 剛史 風間 一洋 野田 五十樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.94, pp.19-24, 2012-06-14

本論文では,東日本大震災時の前後にTwitterに投稿された約4億のTweetを用いて,震災がTwitterを用いたリツイート行動に与えた影響を分析した.リツイートの時系列を混合正規分布を用いてモデル化し,震災直後にはリツイートが行われるタイミングが短くなり多くの情報が素早く大勢のユーザに共有されたことを明らかにした.また,得られたモデルをクラスタリングすることで,リツイートの時系列変化を5パターンに分類しそれぞれの特徴を分析し,各パターンの出現数が震災前後でどのように変化したかを確認した.
著者
ミンテイ グェン 川村 隆浩 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.105, pp.19-23, 2010-06-18

本論文の目的は,twitterから取得した文中に現れる行動の基本属性(行動主,動作,対象,時間,場所)を自動的に抽出することである.しかし,先行研究では,頻度が低い行動を獲得できない.そして,抽出する前に,動詞リストとカテゴリワード(対象を表すワード)を予め準備しておく必要がある.そこで本論文では,条件付確率場(Conditional Random Fields)と自己教師あり学習(Self-Supervised Learning)を用いて,行動属性の自動抽出手法を提案する.提案手法では,人手でラベル編集や行動のドメインの定義などの必要がなく,頻度が低い行動も獲得できる.
著者
黒河 昌起 山本 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.412, pp.5-7, 2014-01-27

超音波が微生物の破壊に用いられることはよく知られているが,その機構は未解明な点が多い.本研究では,微細生物であるChaetoceros calcitrans, Chaetoceros gracilis及びNannochloropsis sp.の懸濁液に,周波数が20kHz,400kHz,1.0MHz,2.2MHz,3.3MHz及び4.3MHzの超音波を照射することにより,破壊効率が周波数に依存することが分かった.Chaetoceros calcitrans, Chaetoceros gracilis及びNannochloropsis sp.の超音波処理で,最も高効率を示した周波数はそれぞれ3.3MHz,2.2MHz及び4.3MHzであった.微生物破壊の周波数依存性は,微生物細胞と超音波によるキャビテーション気泡の物理的な相互作用に起因すると考える.
著者
橋野 樹広 加藤 優基 中島 弘史 三好 和憲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.134, pp.87-92, 2013-07-11

本報告では,エージングによるヘッドホンの音響特性の変化を検証する.エージング時間とエージング音源をパラメータとして,各種音響特性の差を分析した.音響特性として,インパルス応答波形,周波数振幅特性,群遅延特性,立ち上がり時間,高調波歪,混変調歪について評価した.その結果,立ち上がり時間以外はエージングによって変化したと考えられる特性は確認できかなった.これはエージング音源を変えた場合についても同様であった.一方,立ち上がり時間については,エージング時間を増やすことで短くなる傾向があるヘッドホンがあり,エージングにより特性が変化する可能性が示された.
著者
王 竺 平木 敬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.155, pp.209-213, 2014-07-21

近年Node.jsの特長を生かされ,ウェブアプリケーションを開発するときにNode.jsがよく使用されている.しかし,Node.jsはシングルスレッドの実装であるため,同時に複数のタスクのCPU処理を同時に行うことができない.特にCPU-boundタスクを処理する際バまかのタスクがブロックされて,応答性が劣っている.このような問題を解消するために,子プロセスのプール生成かマルチスレッド化による静的にスケールアウトして並列処理方法通常に採用されている.しかし,既存のツールを利用してマルチスレッド化をする際に安定性と機能性が失うことがあり,子プロセスを生成する手法では,子プロセスの数は実行時に変更できないため,タスクの数が増加するにつれ,並行処理し切れないケースも存在する.これを改善するために,本稿では自動スケーリングによる並行処理の手法を提案する.また比較実験を行い,改善の効果を示した.
著者
松金 輝久 武永 康彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.743, pp.95-103, 2005-03-11
参考文献数
7
被引用文献数
1

計算量に関する研究において、最近ではテトリスのようないわゆる「落ちもの」ゲームの計算量にも興味が集まっている。本研究ではぷよぷよというゲームを取り上げる。一般化ぷよぷよの連鎖数判定問題のNP完全性を3-PARTITIONからの帰着によって示す。
著者
飯澤 恒 坂部 俊樹 酒井 正彦 草刈 圭一朗 西田 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.129, pp.25-30, 2005-06-17
被引用文献数
3

プログラミング言語Malbolgeは, 意図的に言語仕様を難解に設計し, その言語上でのプログラムの作成や解読を困難にすることを目的とした, 難読(難解)プログラミング言語である.本研究では, ソフトウェア保護技術であるプログラムの難読化に応用することを目的として, Malbolge上で高度な機能を実現するためのプログラミングの指針を示す.