著者
福井 裕行
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.125, no.5, pp.245-250, 2005-05-01
被引用文献数
1 1

ヒスタミンH<sub>1</sub>受容体を介するシグナルはH<sub>1</sub>受容体の発現レベルにより調節を受けることが明らかにされつつある.先ず,リコンビナントH<sub>1</sub>受容体を発現する培養細胞を用いて,H<sub>1</sub>受容体のダウン調節が明らかにされた.この機構にはH<sub>1</sub>受容体分子のリン酸化が関与することを明らかにした.そして,リン酸化部位として5ヵ所のセリンおよびスレオニン残基が明らかにされた.そのうち,<sup>140</sup>T,および,<sup>398</sup>Sの2つの部位がより重要なようである.H<sub>1</sub>受容体リン酸化にはカルシウム/カルモジュリン依存性キナーゼII,タンパクキナーゼC,タンパクキナーゼG,タンパクキナーゼAなどの関与が示唆される.そして,ダウン調節にはH<sub>1</sub>受容体を介する同種ダウン調節に加えて,M<sub>3</sub>ムスカリン受容体やβ<sub>2</sub>アドレナリン受容体を介する異種ダウン調節の存在を明らかにした.異種の受容体ダウン調節は受容体分子のリン酸化が関与していないようである.それに対して,H<sub>1</sub>受容体を介するH<sub>1</sub>受容体遺伝子発現亢進による受容体アップ調節機構の存在が明らかとなった.この機構にはタンパクキナーゼCの関与が示唆される.さらに,異種のH<sub>1</sub>受容体アップ調節の存在も明らかにしつつある.アレルギーモデルラット鼻粘膜H<sub>1</sub>受容体mRNAレベルがアレルギー発作により上昇することを見いだしたが,この上昇にはH<sub>1</sub>受容体遺伝子発現の関与が示唆された.そして,H<sub>1</sub>受容体自身の刺激とそれ以外のメディエーターの関与が考えられる.また,H<sub>1</sub>受容体mRNA上昇はデキサメサゾンにより完全に抑制され,この上昇機構がデキサメサゾンの標的であることが明らかとなった.さらに,培養細胞におけるH<sub>1</sub>受容体誘発性H<sub>1</sub>受容体遺伝子プロモーター活性の上昇がデキサメサゾンで完全に抑制されることを見いだした.そして,H<sub>1</sub>受容体遺伝子には多数のイカロスサイト類似部位が見いだされた.<br>

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こんな論文どうですか? ヒスタミンH_1受容体の発現調節機構とその意義(福井裕行),2005 http://id.CiNii.jp/BG527B

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