著者
川口 充 澤木 康平 大久保 みぎわ 坂井 隆之 四宮 敬史 小菅 康弘
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.6, pp.447-453, 2006-06-01
被引用文献数
4 7

口腔は,消化・咀嚼・感覚・発音といった多様な機能が集合しており,それぞれの機能は,他の器官と共通の調節機構により制御されている.したがって口腔は薬物療法による副次的な影響を受けやすい器官であり,ひとたび機能不全が生じるとその障害の大きさを認識させられることから,健康に対する潜在的価値が非常に高いと言える.薬物が口腔に及ぼす副作用には,味覚障害,口腔乾燥症,歯肉肥大症,唾液分泌過剰,流涎,口内炎,歯の形成不全・着色などが挙げられるが,ここでは,味覚障害,口腔乾燥症,歯肉肥大症に焦点を絞って解説した.味覚障害では亜鉛不足が病態の原因の最も多くをしめること,OH,SS,NHなどの官能基を持つ薬物には亜鉛をキレートする性質があること,唾液分泌が味覚物質の溶媒として欠くことができないことを説明し,さらに,味覚受容体の分子レベルでの研究の経緯と現状について解説を加えた.口腔乾燥症では,向精神薬のうち三環系抗うつ薬とメジャートランキライザー,およびベンゾジアゼピン類の作用標的の違いについて,降圧利尿薬の腎臓と唾液腺での作用の違いについて説明した.歯肉肥大症では原因となる薬物の種類は少ないが,線維芽細胞のコラーゲン代謝機能に影響を及ぼしていること,性ホルモンが修飾する可能性について説明した.<br>

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編集者: KMT
2012-05-19 19:30:03 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。

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