- 著者
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田ヶ谷 浩邦
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.129, no.1, pp.42-46, 2007-01-01
- 被引用文献数
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3
不眠はありふれた訴えであるが,その原因はさまざまで,睡眠薬以外の治療法が適切な不眠や,睡眠薬により悪化する睡眠障害があるため,薬物療法開始前に十分な鑑別が必要である.催眠作用をもつ薬物として,バルビツール酸系睡眠薬,非バルビツール系睡眠薬,ベンゾジアゼピン系睡眠薬,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬,抗ヒスタミン作用をもつ薬剤がある.慢性の非器質性不眠症に対して効果・安全性とも優れているのはベンゾジアゼピン系睡眠薬,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬である.健忘,転倒などの副作用や常用量依存の防止のため,1)治療目標を控えめに設定する,2)少量を毎日服用する,3)エタノールと併用しない,4)患者の自己判断で用量を変更しない,など服薬指導を行う.不眠への不安・恐怖感を緩和し,不眠を悪化させる習慣を是正するため,「眠くないのに無理に布団の中で過ごさない」など認知行動療法の併用が有効である.<br>