- 著者
-
安里 豊
野中 薫雄
青木 武雄
- 出版者
- 日本皮膚科学会西部支部
- 雑誌
- 西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.6, pp.559-563, 2004-12-01
- 参考文献数
- 27
- 被引用文献数
-
1
1
46歳の男性。27歳頃より両下肢に慢性湿疹と静脈瘤が出現して, 時々疼痛を自覚するようになった。30歳頃, 近医にて静脈ストリッピング術を受けたが, その後も湿疹症状が持続していた。2003年4月, 左足関節の疼痛を主訴に当院皮膚科を受診した。当初, うっ滞性皮膚炎の悪化と診断したが, 患者の外見から何らかの合併症の存在を疑った。さらなる精査を行った結果, Klinefelter症候群であることが判明した。30歳頃に既に診断され, それ以後よりテストステロンの補充療法がなされていた。Klinefelter症候群は47 XXYなどの性染色体異常が主な原因であると考えられており, 一般的に高身長, 長い四肢, 女性化乳房, 睾丸の発育不全などの症状が認められるが, うっ滞性皮膚炎, 静脈瘤, 下腿潰瘍等の報告例は比較的少ない。本邦では下腿潰瘍の報告例は21例, 静脈瘤との合併の報告例は自験例を含め5例, うっ滞性皮膚炎の報告例は5例であった。本症例では, うっ滞性皮膚炎に対してプレドニゾロン内服療法を行い, 皮疹は軽快した。