著者
久保 容二郎 野中 薫雄 吉田 彦太郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.523-526, 1987 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

すでに, ゴマ油によるアレルギー性接触皮膚炎の1例を「紫雲膏に含まれるゴマ油による接触皮膚炎」として報告したが, その症例につき, 抗原の解析を試みた。ゴマ油皮膚炎の抗原としては従来その不鹸化物sesamin, sesamolin, sesamolなどが考えられてきた。今回, それらを各々1%含有する白色ワセリン基剤の検体を作製し貼布試験を行ったところ, se8aminとsesamolinの両者に陽性を認めたが, sesamolには陰性であった。それらの結果について考察を加えた。
著者
稲福 寿史 稲福 和宏 宮城 嗣名 野中 薫雄
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.23-26, 2005-02-01
参考文献数
6

Hydroxyurea(以下HU)は,慢性骨髄性白血病(以下CML)の治療薬として現在外来で広く使用されているが,本剤を長期にわたって維持投与された症例に下腿潰瘍を合併したとする報告例が増加している。症例は57歳の男性。1997年9月CMLと診断され,HUの投与(1000~1500mg/日)が開始された。投与12ヵ月後,外顆部に有痛性の潰瘍が出現し始め,近医にて種々の外用療法を行ったが改善はみられなかった。潰瘍出現の原因検索と潰瘍治療法の選択のため,当科紹介入院となった。病理組織学的には真皮中層から深層にかけて小血管と結合織の増生,炎症細胞の浸潤を軽度認めた。血管壁の膨化や変性はなく,血管炎の所見も認められなかった。本症例の潰瘍の原因は,うっ滞性,糖尿病性,血管炎性などが疑われた。入院4日目よりHUを中止し,アクトシン<SUP>&reg;</SUP>軟膏外用の保存的治療で約2ヵ月で略治したのでHUによる潰瘍と診断した。HU中止後3年6ヵ月の現在に至るまで潰瘍の再発はみられない。
著者
安里 豊 野中 薫雄 青木 武雄
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.559-563, 2004-12-01
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

46歳の男性。27歳頃より両下肢に慢性湿疹と静脈瘤が出現して, 時々疼痛を自覚するようになった。30歳頃, 近医にて静脈ストリッピング術を受けたが, その後も湿疹症状が持続していた。2003年4月, 左足関節の疼痛を主訴に当院皮膚科を受診した。当初, うっ滞性皮膚炎の悪化と診断したが, 患者の外見から何らかの合併症の存在を疑った。さらなる精査を行った結果, Klinefelter症候群であることが判明した。30歳頃に既に診断され, それ以後よりテストステロンの補充療法がなされていた。Klinefelter症候群は47 XXYなどの性染色体異常が主な原因であると考えられており, 一般的に高身長, 長い四肢, 女性化乳房, 睾丸の発育不全などの症状が認められるが, うっ滞性皮膚炎, 静脈瘤, 下腿潰瘍等の報告例は比較的少ない。本邦では下腿潰瘍の報告例は21例, 静脈瘤との合併の報告例は自験例を含め5例, うっ滞性皮膚炎の報告例は5例であった。本症例では, うっ滞性皮膚炎に対してプレドニゾロン内服療法を行い, 皮疹は軽快した。
著者
久保 容二郎 野中 薫雄 吉田 彦太郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.209-212, 1987 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

アロエによる刺激性接触皮膚炎の1例を報告した。本症例と健常者10名にキダチアロエの針状結晶をそのまま含むアロエ・ジュースと針状結晶を除去したジュース濾過液のパッチテストを施行した。本症例と健常者6名は針状結晶を含むアロエ・ジュースに陽性が認められた。しかし, 針状結晶を除いた検体に対して明らかな陽性を示した者は皆無であった。その結果より, アロエの外用は針状結晶による刺激性接触皮膚炎をきたす可能性があることが示唆された。上記パッチテストの陽性反応は浮腫と丘疹または小水疱で表現され, アレルギー反応を思わせる所見であった。すなわち, 針状結晶は偽陽性反応の原因となることも示唆された。
著者
野中 薫雄 大神 太郎 村山 史男 増本 義
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.675-677, 1986

Chromosome eighteen trisomy syndromeは多くの奇形と染色体異常を伴つた新生児の疾患である。患者は生後4日女児で, 家族内に同症なく, 血族結婚もない。生下時体重1,920g(在胎42週)で, チアノーゼ, 低体重, 心雑音, 外表奇形のため新生児センターに入院した。皮膚全体に潮紅が著しく, 全身ことに四肢伸側, 背部, 臀部, 大腿にかけて多毛を認めた。その他, 耳介の下方位置, 耳介奇形, 胸骨短縮, 手指の交叉現象, VSD, ASDを伴つていた。染色体数は47で, 18 trisomyを認めた。皮膚病理組織学的所見では毛包数の増加は認められたが, 形態学的異常は認められなかつた。生後23日目, 呼吸機能不全のため死亡した。本症候群の皮膚科的記載は比較的少なく, 頸部のcutis laxa, 多毛, 大理石様斑, 指紋の異常, 四肢爪の形成不全などがみられるが, 本患者では多毛のみであつた。