著者
稲垣 直樹 高 〓坤 田中 宏幸 永井 博弌
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:13478397)
巻号頁・発行日
vol.131, no.4, pp.240-243, 2008-04-01

NC/Ngaマウスの耳殻皮膚に,テープストリッピングとダニ抗原溶液の塗布を繰返すと,血中IgEの上昇,インターロイキン-4(IL-4)mRNA発現の増大およびインターフェロン-γ(IFN-γ)mRNA発現の減弱を伴う耳殻腫脹が誘発される.病理組織学的検討では表皮の肥厚,真皮の腫脹,炎症細胞の集積などの炎症の徴候が認められる.アトピー性皮膚炎に有効性を示す漢方方剤の十全大補湯,補中益気湯,消風散および黄連解毒湯は,IL-4 mRNA発現の増大およびIFN-γ mRNA 発現の減弱を回復させる傾向を示し,耳殻腫脹とともに組織学的な炎症の徴候を抑制する.したがって,これらの方剤はTh1/Th2バランスを矯正することによってアトピー性皮膚炎に対して治療効果を発揮する可能性が示唆される.<br><br>(〓は、漢字の金を3つ)

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