著者
喜多 常夫
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.531-545, 2009-07-15
被引用文献数
1

筆者の初めてめ海外産清酒の体験は、25年ほど前にさかのぼる。欧米ではいまや、日本人経営でない(中国人や韓国人経営、または欧米人経営の)日本食レストランは当たり前だが、すでに1980年代から英国、フランス、ドイツ、スペインではそのようなレストランが散見された。節約を旨とした当時のヨーロッパ出張では、和食が恋しいとき、日本人経営の店に比べると価格が安いそんな日本食レストランに入ることが多かった。そこでサケを頼むと、2度に一度の割で日本製でないサケがでてくるのに驚いた。韓国に白花(ペカ)という清酒があるのを知ったし、メニューにはSakeとあるのに清酒かどうか怪しいお燗酒が出てくる時もよくあった。またアメリカ産の清酒がずいぶんあるのにも驚いた。時代を経て、今では海外産のサケは、世界の日本食需要・サケ需要にとってなくてはならないものとなっている。日本国外で8カ国、20社以上が清酒・サケを製造しているし、焼酎(単式蒸留焼酎)と名のる商品も、8カ国以上、10数社で製造されている。清酒・焼酎の輸出実態については話題としてよく取り上げられるところだが、本稿では海外生産の清酒・焼酎の生産量について調査した情報を合わせて紹介し、日本製・海外製を含めた世界のマーケット動向を分析する。また、アメリカ、ブラジル、台湾、韓国、中国などの清酒生産の長い歴史を、共通の時間軸で記述し、長期的視点で見た現在のサケブームの背景を探る。これらを通じて、日本発の清酒と焼酎、さらに梅酒も含めた「日本の酒の将来」に関する提言を行いたい。

言及状況

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編集者: Raccoon Japanese
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