著者
星野 斉之 内村 和宏 山内 祐子
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.1-8, 2009-01-15
被引用文献数
1

〔目的〕青中年期結核罹患率の地域差を検討する。〔方法と結果〕2005年の結核発生動向調査と国勢調査を用いて,都道府県別の性・就業状況別の青中年期(25~54歳)罹患率を算出し,背景要因を検討した。〔結果〕都市と周辺地域の罹患率が高い。四大都市通勤圏とその他の地域の比較では,都市通勤圏の日本人の就業者,無職,主婦で有意に高かったが,主婦では差は小さかった。生活保護対象者の罹患率は高いが,受給率に地域差はなかった。外国人の罹患率は高いが,女性の無職・その他のみに地域差を認めた。電車・バス利用回数と罹患率が,就業者で強い相関を示したが,主婦に相関はなかった。居住状況と都道府県罹患率に相関はなかった。糖尿病,悪性腫瘍,関節リューマチの受療率は結核罹患率と相関せず,推定HIV感染合併患者数は少なく,除外しても罹患率の差異は保たれた。〔考察〕都市部における公共交通機関の利用と就業による感染リスクが示唆され,事業所の患者発見対策強化と必要時の公共交通機関における接触者健診が勧められる。また,貧困の影響の可能性があり,詳細な検討が必要である。外国人,居住状況,HIV感染,糖尿病,悪性腫瘍,関節リューマチの影響は示唆されない。

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