著者
伊藤 華江 保沢 こずえ 牧野 伸二 近藤 玲子 熊谷 知子 平林 里恵 関口 美佳
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.191-196, 2009-11-30
被引用文献数
2 1

<B>【目的】</B>プリズム非装用時と眼鏡内組み込みプリズムレンズ、膜プリズム装用時の視力、コントラスト感度、高次収差を比較検討した。<BR><B>【対象と方法】</B>屈折異常以外に眼疾患のない正常者20例20眼(21~47歳、平均28.8歳)を対象に、屈折矯正下でプリズム非装用下(装用なし群)、8Δ組み込みプリズム装用下(組み込み群)、8Δフレネル膜トライアルレンズ装用下(膜プリズム群)の視力、コントラスト感度、高次収差を測定した。コントラスト感度は、CAT-2000™(ナイツ)を用い、昼間視の状態で100%、25%、10%、5%、2.5%で測定した。高次収差はKR-9000PW™(トプコン)を用い、瞳孔測定径4mmのコマ様収差(S3)、球面様収差(S4)、全高次収差を測定した。<BR><B>【結果】</B>視力(logMAR)は装用なし群の-0.08±0.0に比較すると、組み込み群では-0.07±0.02と有意差はなかったが、膜プリズム群では0.04±0.10と有意に低下した(p<0.001)。コントラスト感度は装用なし群と組み込み群ではいずれのコントラストでも有意差はなかったが、膜プリズム群では有意に低下した。高次収差は装用なし群と組み込み群ではS4で有意差がなかったが、S3、全高次収差は組み込み群で有意に大きく(p<0.05)、膜プリズム群ではS3、S4、全高次収差の全てで有意に大きかった(p<0.005)<BR><B>【結論】</B>眼鏡内に組み込み可能な8Δまでの組み込みプリズムでは、同じ度の膜プリズムに比べ、視機能への影響は少ないことが推測された。

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