- 著者
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鈴木 智哉
金井 敬
蝋山 敏之
若林 憲章
江口 秀一郎
江口 甲一郎
- 出版者
- 公益社団法人 日本視能訓練士協会
- 雑誌
- Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, pp.255-258, 1998-11-30
- 参考文献数
- 4
開散麻痺発症後,早期に手術加療を行い良好な予後を得た一例を報告する。<br>症例は34歳男性で落馬事故により頭部を打撲後,開散麻痺をきたし,入院により薬物治療並びにシノプトフォアによる開散トレーニングを約3ヶ月間行った。しかし,主訴である遠方視時の同側性複視は改善されなかった。プリズム眼鏡装用にて複視の消失が得られたが,職業上眼鏡装用が不可能であったため,また患者自身の強い希望もあり,受傷後約3ヶ月の段階で手術加療を施行した。通常,眼球運動神経麻痺では自然治癒の可能性も考慮し,発症後最低6ヶ月間の経過観察を行う。今回われわれは,患者の背景を考慮した結果,受傷後約3ヶ月という早期の段階で手術加療を行い,良好な結果を得た。