著者
不二門 尚
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.19-25, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
10

3D映像は、映像技術の進歩と疲れにくいコンテンツの開発により、映画を中心に普及する可能性が高い。3D映像の普及と共に、日常生活で問題なくても、輻湊不全や、代償不全の斜位など何らかの眼科的素因のある人は、眼精疲労や複視を訴える場合があることに、注意する必要がある。6歳位までの小児は立体視の発達過程にあり、調節性内斜視など、両眼視が障害されやすい素因のある場合、両眼を分離して見る3D映像の観賞は、注意する必要がある。また、立体視の弱い人が、3D映像社会でハンディキャップにならないような働きかけも必要と思われる。
著者
高橋 香莉 松澤 亜紀子 山中 郁未 鍬塚 友子 高木 均
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.185-192, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
12

【目的】カラーコンタクトレンズ(カラーCL)装用中に人工涙液点眼を頻回に点眼することによる、レンズ形状および角膜への影響について検討した。【対象及び方法】対象は眼疾患を有さない女性6名12眼。平均年齢は35.2±10.6歳。使用したソフトコンタクトレンズ(以下SCL)はデイリーズ®フレッシュルック®イルミネート™(Alcon社製)、使用度数は±0~-8.00D(平均-3.25±3.0D)。点眼薬はソフトサンティア®および生理食塩点眼を使用した。方法は、カラーCL装用前と装脱後に前眼部光干渉断層計(AS-OCT;以下CASIA)にて角膜厚、角膜曲率半径を測定。レンズを装用し、5分毎に10回点眼を行った。点眼1回後と10回後にCASIAにてレンズ着色外径を測定した。【結果】レンズ着色外径は、生理食塩水点眼群には変化はみられなかったが、ソフトサンティア®点眼群では、装用直後に比べ装脱直前には着色外径が有意に小さくなっていた。角膜厚と角膜曲率半径はすべての点眼液において、装用前に比べて装脱後の角膜厚が増大し曲率半径が大きくなる傾向がみられたが、有意差は認められなかった。その変化率はソフトサンティア®点眼群が最大であった。【結論】PVA素材のカラーCL装用下でのソフトサンティア®頻回点眼は、レンズ形状に変化が認められるだけでなく角膜への影響も認められた。そのため、SCL装用中に点眼薬を使用する際には、使用レンズと点眼薬の組み合わせや点眼回数に注意が必要である。
著者
岩崎 常人
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.39-44, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
11

現在の3Dテレビや3D映画での立体像を再生する方式には、二眼式表示法が用いられている。二眼式表示法に共通した点は、人為的に両眼視差を用いることである。人為的に両眼視差を誘起して立体像を知覚させると、視機能の点では調節機能と輻湊機能との相互関係に解離を来す。そのために二眼式表示による3D映像の鑑賞は、眼精疲労を誘発しやすい。 眼精疲労は、その原因が複雑多岐にわたり、一つの原因に特定して予防や治療を進めることが困難である。しかし、古くから眼精疲労に関する原因的分類として、以下の5つがある。①調節性眼精疲労、②筋性眼精疲労、③不等像視性眼精疲労、④症候性眼精疲労、⑤神経性眼精疲労。この分類に従うと、二眼式表示での3D映像鑑賞による眼精疲労は、調節と輻湊機能とが解離することから、調節性眼精疲労と筋性眼精疲労に当てはめることができる。 3D映像を鑑賞することによって発症する眼精疲労の原因が、どこにあるのかを特に調節機能に重点をおいて考えてみる。また同時に、その眼精疲労の対策の一例についても、調節機能を尺度として推察する。
著者
石川 哲
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-9, 2005-09-30 (Released:2009-10-29)
参考文献数
16

最近話題のシックハウス症候群(SHS)、多種化学物質過敏症(MCS)に関してその要点を総説的に解説した。本症は微量化学物質の慢性接触により生じた生体の自律神経、中枢神経、免疫系、内分泌系を中心とする過敏反応である。感覚器としての眼はちかちかする、異物感がある、視力が低下する、かすむ、中心部が見にくい、つかれるなどの症状、訴えが頻度的にも最も多い症状である。これら疾患の診断に眼は最も役に立つ器官である。何故ならば定量的にその障害が極く軽度のレベルから測定出来るからである。現在特に患者が多いのは新築により生じた症例、またはリフォームによる症例が中心をなしている。我々現代人は過去100年前には体験出来なかった合成化学物質蓄積が既にあり、生体内の解毒システムがそれに動員されるので、本来ならば反応しない低いレベルの物質でも閾値が低く反応が起こり発症する可能性が強い。我々の周辺の環境劣化は健康問題一つとして21世紀には絶対に放置出来ない限界点まで来てしまっている。Sick House, MCS問題で悩んでいる患者もこの環境劣化現象の結果現れた可能性が強い.今後我々は真摯な態度で環境問題を考えそれに対処して行く必要がある点を強調したい。
著者
枝川 宏
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.183-190, 2015 (Released:2016-03-19)
参考文献数
14

スポーツでは視力は重要である。しかし、スポーツと視覚の関係については、まだわかっていないことが多い。そのためスポーツと視覚の研究は様々な分野で行われていて、研究内容は多岐にわたる。なかでも、選手の視覚を解明しようとする研究は多い。 スポーツ選手の視覚の研究には脳の機能を中心に分析する研究と眼の機能を中心に分析する研究がある。眼の機能を中心に分析する研究者は選手の眼の能力は優れていて、視覚訓練で競技能力は向上すると考えている。我が国ではマスコミなどを通してたびたび紹介されている。しかし、脳の機能を中心に分析する研究者は選手の眼の能力は一般人とほとんど変わらず、視覚訓練で競技能力は向上しないと考えている。現在諸外国においては選手の視覚の研究は検査技術の進歩や眼の機能を中心に分析する研究に疑問点が多いことから、脳の機能を中心に分析する研究が主流になっている。 今回はこの2つの研究分野の違いとスポーツにおける視覚の重要性を説明して、今後眼科領域がスポーツ分野に果たすべき役割について考える。
著者
江本 正喜
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.27-37, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
43

実用化を迎えたステレオ方式3D映像は、2D映像による生体影響に加えて、視聴者に両眼立体視に伴う視覚疲労を起こす可能性が懸念される。この視覚疲労の要因、機序、防止方法を検討するため、視覚疲労要因をあらためて整理した。まず、実体視の例から類推して左右像の融像努力が必要となるような疲労要因を、非原理的要因である左右像差と、原理的要因である水平両眼視差に分類した。この分類に基づく2つの疲労評価実験を、主に視機能変化を指標として行った。実験1では両要因が混在する状態での疲労評価を行い、2D映像と3D映像による視覚疲労の差を検証した。その結果、2Dより3Dの方が疲労が大きいことが示唆された。実験2では、原理的要因のみが存在する疲労負荷による疲労評価を行った。その結果、快適視域を超える大きい輻湊負荷や、その時間変動が視覚疲労の原因となることが示唆された。これらに基づき、見やすく、視覚疲労の少ない良質な3D映像の制作のために次を推奨する。(1)左右映像の差を最小化すること、(2)視聴者に提示される両眼視差分布とその時間変化を統制すること、(3)瞳孔間隔の狭い年少者への配慮を行うこと。また、課題として、3D映像視聴による発達への長期的影響は不明であることを指摘し、さらに、若年者の視聴環境を十分に管理する必要性と、これらの問題に配慮ができる番組制作者の育成や経験の蓄積が急務であることに言及する。
著者
須田 和代 森 由美子 調 広子 大池 正勝 山本 節
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.151-158, 1992-11-20 (Released:2009-10-29)
参考文献数
24

従来,心因性視力障害患者の視野には管状視野・螺旋状視野・求心性狭窄等の特有なものが検出されることがあるとの報告がされているが,視野とは視覚感度の分布であるという定義に基づくと,その視野には矛盾する点がみられる。我々は心因性視力障害疑いの患者に対しても,本来の概念に基づいて視野検査を行ってきた。その結果,他院から異常視野として紹介された症例も含め,全例正常視野を得,他の器質的疾患を否定する一助に充分なり得た。特有な視野が心因性に限るものではないことから,心因性視力障害疑いの患者に対しては,その心因的要素を取り除くよう配慮し,可能な限り正確に診断できる検査結果を得るべく努力すべきであると考える。
著者
半田 知也
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.45-52, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
18
被引用文献数
1

アナログ映像からデジタル映像への技術進展、3次元(3D)映画の公開などを背景に、家庭用3Dテレビ、ゲームの発売、複数の放送局が3D番組放送を開始するなど、3D映像は映像文化として定着の兆しを見せ始めている。現在主流である二眼式3D映像は、2台のカメラで簡単に立体空間を再現できる反面、不適切な空間映像を作りやすく、生体安全性について懸念されている。近年の3D映像は、3D映像制作ガイドラインの準拠、映像編集における技術革新、小児に対する視聴制限などにより生体安全性を最大限考慮されて製作されている。しかしながら、3D映像の生体安全性の担保には視聴者の3D映像への理解及び3D映像の適切な視聴法が重要となる。両眼視機能の専門家である視能訓練士は、3D映像を含む映像技術に対する理解を深め、その効果と注意点を客観的に評価し、社会に啓発する必要がある。現在、3D映像は映像メディアとしてだけではなく、教育・医療応用が注目されている。特に3D映像技術そのものを応用できる眼科検査応用への展望が開けてきた。 本稿では3D映像の現状について概説し、視能訓練士の立場から3D映像の視機能への影響及び、3D映像技術の視機能検査・訓練応用について述べる。
著者
塩釜 裕子 宮本 正
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.287-295, 2014 (Released:2015-03-19)
参考文献数
13
被引用文献数
1

【目的】色覚補正眼鏡の一種であるカラービューに対する有効性を検討すること。【対象と方法】カラービューを用いて以下の四項目について検討した。①石原色覚検査表の誤読数及び、パネルD-15の横断線が減少するか。②20色の色の名前を正しく答えられるようになるか。③日本眼科学会ホームページに記してある、先天赤緑色覚異常が見分けにくい色の組み合わせの各二色(8種類、合計16色)が見分けやすくなるか。④「先天色覚異常の方のための色の確認表」を用いて複数の色から色名を用いて特定の色を選択できるようになるか。これらは1型2色覚、1型3色覚、2型2色覚、2型3色覚、各1名、合計4名の色覚異常者の協力を得て行った。【結果】カラービューの使用によって結果は以下のようになった。①石原色覚検査表の誤読数とパネルD-15の横断線は減少した。②色名を正しく認識できるようにはならず、逆に色名がわかりにくくなる場合もあった。③検討した二色の多くが見分けやすくなった。④色名を用いて特定の色を選択することはできなかった。【結論】色覚補正眼鏡カラービューでは正常色覚者と全く同じ色の認識を得ることはできない。特に色の名称を正しく認識するのは不可能である。また、使用することによって逆に色を混同する場合もあった。だが、特定の二色間の識別に関しては有効であった。
著者
中村 桂子
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.13-24, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
11

物が二重に見えるという訴えを持つ患者は臨床的によく遭遇する。麻痺性斜視や甲状腺眼症、急性内斜視、skew deviation、輻湊不全など原因はさまざまで検査、診断、治療方法に苦慮することも多い。症状の変化など経過を見ながら、患者の不自由さに早急に対応する必要があり、近年、対症療法としてプリズム療法の報告が多く見られる。今回、筆者が経験したプリズム処方の自験例を紹介しながら、疾患ごとの検査のポイントについて検討した。 プリズム療法が適応となる頻度は疾患によりかなり差がある。最も良い適応疾患は、むき眼位による偏位量の変化が少ないskew deviationであるが、それでも実際に処方率は46.2%に留まり、次いで外転神経麻痺33.3%、滑車神経麻痺32.7%の順であった。 また、プリズム処方例の中で装用を症状が改善して中止できた割合は、外転神経麻痺や滑車神経麻痺例において3ヵ月で約3~4割、6ヵ月で約5割程度であった。 甲状腺眼症のようにプリズム療法の適応になりにくい疾患でも、 Quality Of Vision (QOV)を向上させるために処方する場合もある。またプリズム療法で複視が解消できる疾患は限られているため、遮蔽法を選択せざるを得ない場合もある。その場合は、遮蔽膜での全面遮蔽や部分遮蔽、OCLUA®(オクルア®)のような遮蔽用のレンズも開発されており、これらを使用することで少しでも苦痛をやわらげる配慮が必要である。
著者
榊原 七重
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.41-49, 2013 (Released:2014-03-13)
参考文献数
37

眼は、成長発達、さらに加齢により変化する。臨床経過観察において基準となる屈折経年変化の正常データは重要である。今回、ほとんどのデータは古いものであったが、各種の検査で得られている生体計測データはなお有益である。そこで、これらの屈折要素について文献をレビューし、屈折経年変化について考察し、その特徴を明らかにしようと試みた。 屈折状態は、主な屈折要素である角膜、水晶体、眼軸長により形作られる。 角膜屈折力は、新生児で最も強く、4~9歳までに成人と同程度まで減少する。水晶体は生涯を通して変化するが、新生児は老年期の2倍の厚さと屈折力を持つ。眼軸はその成長に3つの段階があり、18か月までに急激に、その後5歳まではややゆるやかに、その後さらにゆるやかに13歳頃まで伸展し近視化し、それ以降の伸びはほとんど無い。これら角膜屈折力、水晶体屈折力、眼軸長を基に、SRK式を用い、各屈折要素から全屈折力を算出すると、2歳以降に近視化することが示されたが、同時に9歳までは遠視化する可能性が考えられた。 屈折は、生直後は遠視にピークを持つ正規分布であると報告されているが、学童期は正視、中高生においては正視と近視にその分布は集中化する。遺伝因子、環境因子などによって屈折の変化には個人差があり、屈折分布には世代間差があることが知られている。これらのことから、今後日々の臨床において、正確でその時代にあったデータの収集を行いつつその利用が必要であると考えられた。
著者
仲泊 聡
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.7-17, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
38

本稿では、視覚皮質の機能局在と日常生活動作の関係について述べる。まず、網膜から脳までの視覚伝達経路における神経回路について紹介する。その中で、脳における視覚の本質に対して異なる選択性をもつ、網膜神経節細胞のサブタイプ、視覚皮質の網膜部位再現と視覚経路について述べる。次に、我々の行った視覚障害者の日常生活動作の様々な局面に関してのアンケート調査から、1)対象認知、2)空間認知、3)精神への影響、4)眼球運動反射、5)順応と恒常性の5つの事柄が、QOV(視覚の質)に必要な本質であることについて述べる。そして、最後にこれらの5つの視覚の本質が、網膜神経節細胞のサブタイプに端を発する視覚皮質の局在に深い関係があるということについて論じる。
著者
西脇 友紀 阿曽沼 早苗 小野 峰子 仲村 永江 田中 恵津子
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.277-285, 2014 (Released:2015-03-19)
参考文献数
9

【目的】視能訓練士の拡大鏡選定状況に関するアンケート調査の結果を報告する。【対象及び方法】2013年5月、ロービジョン(LV)対応医療機関に勤務している視能訓練士(日本LV学会員)を対象に拡大鏡選定に関するアンケートを郵送で行った。【結果】86名の視能訓練士から回答を得た。回答者の82.6%は、月あたり平均拡大鏡選定数が3つ以下であった。拡大鏡選定時に必要拡大率の計算・算定をしている者は72.1%で、視力値から計算する方法が最も多く用いられていた。方法を学んだ場所・機会について視能訓練士養成校と回答した割合は低く、養成校修了後に習得したと思われる回答が多かった。その方法を用いている理由の多くは効率性や正確性などで、計算・算定方法により違いがみられた。計算・算定をしていない場合の理由は「患者に任せている」との回答が多かった。計算・算定していると回答した者はほぼ全員が拡大鏡使用法の指導もしていると回答していた。【結論】LV対応医療機関に勤務している視能訓練士の拡大鏡選定状況の概要がわかった。現状では全体的に拡大鏡の選定数は少なかったが、今後、LVケアの需要は高まり視能訓練士が拡大鏡選定に携わる機会が増えることが予想される。視能訓練士はLVケアの主たる担い手として、その中核となる拡大鏡選定を適切に行えるように技術を高める必要がある。
著者
鈴木 美加 比金 真菜 佐藤 千尋 松野 希望 齋藤 章子 森 隆史 橋本 禎子 八子 恵子 石龍 鉄樹
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.147-153, 2017 (Released:2018-03-17)
参考文献数
17
被引用文献数
1

【目的】3歳児健康診査における視覚検査(以下、3歳児健診)において、Retinomax®とSpot™ Vision Screenerの2機種を用いて、自然瞳孔での屈折検査を施行したので、その結果を報告する。【対象及び方法】対象は、福島市の3歳児健診を受診した71名の142眼である。Retinomax®とSpot™ Vision Screenerを用いて自然瞳孔での屈折検査を施行し、2機種の等価球面屈折値および円柱屈折値を比較した。【結果】Retinomax®とSpot™ Vision Screenerともに71名の全受診児で、両眼の屈折値の測定が可能であった。等価球面屈折値は、Retinomax®では-1.19±1.14D(平均値±標準偏差,範囲:-5.00~+4.00D)、Spot™ Vision Screenerでは+0.28±0.56D(-1.125~+3.75D)で有意差を認めた(Wilcoxon符号付順位検定,p<0.001)。等価球面屈折値が近視と測定されたものは、Retinomax®では121眼(85%)、Spot™ Vision Screenerでは30眼(21%)であった。円柱屈折値は、Retinomax®では0.54±0.50D(0.00~2.50D)、Spot™ Vision Screenerでは0.73±0.56D(0.00~3.00D)で有意差を認めた(Wilcoxon符号付順位検定,p<0.001)。【結論】Spot™ Vision ScreenerはRetinomax®に比較し、等価球面屈折値が遠視に測定される傾向にある。この結果は、Spot™ Vision Screenerでは器械近視が誘発されにくいためであると考えられる。したがって、Spot™ Vision Screenerは、健診において自然瞳孔で弱視の要因となる屈折異常をスクリーニングする精度をあげる機器として期待される。
著者
中村 桂子 濱村 美恵子 野邊 由美子 澤 ふみ子 菅澤 淳 森下 清文 内海 隆
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.154-159, 1991

中途視覚障害者に弱視用テレビ式拡大読書器Closed Circuit Television(以下CCTVと略す)を導入し,実際の活用状況について検討を行ったので報告する.対象の視力は0.04~0.35の5症例で,その中の3例は視野異常を有している.使用機種としてミカミのTOP-01とナイツのビジョンスキャナを使用した.<br>その結果,ルーペが役に立たない症例においても文字使用が可能となり,羞明感が強かった症例には白黒反転が有効であった.しかし現実には『見やすさ』は評価しながらも疲労感が強く使用頻度は一週間に10~30分程度と十分活用ができていない状況であった.それでも患者自身にとっては精神面での支えとなり,本人の満足度が高かった.導入に際しては慎重な対応が必要で,1ヶ月程度の試用期間を設けることが理想である.<br>また,経済的な面を考慮して家庭にあるビデオカメラを利用して簡易CCTVを作ることも可能なので,その具体例なども提示する.
著者
間原 千草 三村 治
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.25-34, 2011 (Released:2012-02-22)
参考文献数
21

麻痺性斜視とは眼球運動制限を伴った斜視で、水平斜視だけでなく上下斜視、回旋斜視なども含まれる。特に、上下斜視や回旋斜視では、患者の強い複視や眼精疲労のため日常生活に支障をきたしているにもかかわらず、一見斜視に見えないことや眼球運動制限が肉眼的に分かり難いことから、診断がつかず心因性や詐病として扱われているケースもある。 このような患者を見逃すことなく、診断が行われるためには的確な検査が非常に重要である。 本稿では、臨床的に頻度の高い外転神経麻痺と滑車神経麻痺に重点を置いて、視能訓練士が実際に行っている検査とその注意点、コツについて症例を呈示しながら述べたい。
著者
小鷲 宏昭 西岡 大輔 山口 咲子 安達 恵利香 松岡 久美子 林 孝雄
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.231-237, 2017

<p><b>【目的】</b>色覚検査において正常と診断されても色弁別能が弱いものは、Low normal color visionと呼ばれる。今回我々は、色覚検査では正常色覚と診断できるが、アノマロスコープにて混色等色域の拡大がみられる、Low normal color visionと考えられた父娘例を経験したので報告する。</p><p><b>【症例】</b>17歳、女子。母親に色覚異常を指摘され来院した。今まで色覚検査を受けたことはなく、私生活においても不便さを感じていなかった。石原色覚検査表Ⅱで誤読3表、Panel D-15はminor errorsであった。アノマロスコープでは正常Rayleighにて混色30-40へ等色範囲の広がりがみられたが、1型・2型Rayleighでは等色は起こらなかった。日常生活では赤と茶、青と緑を誤認することがあった。後日、両親に色覚検査を施行し、母親は全検査において正常であった。父親は石原色覚検査表Ⅱにて誤読1表、Panel D-15はno errors、アノマロスコープにて混色35-40へ等色範囲の軽度な広がりがみられたが、色誤認の経験はなかった。</p><p><b>【結論】</b>父娘ともアノマロスコープにて等色域の拡大がみられたことから、Low normal color vision と考えられた。石原色覚検査表やPanel D-15においておおむね正常と判定されても、僅かな誤りがある場合はアノマロスコープで精査することが重要である。</p>
著者
原 たみ子 武井 一夫
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.167-171, 2000-11-30
参考文献数
11

第一・第二鰓弓症候群による耳介形成不全を合併した屈折異常弱視、内斜視の4歳女児に対し、弱視治療を目的とした幼児眼鏡支持法を考案した。眼鏡テンプルを市販のシリコン製ヘアバンド(カチューシャ)とマジックテープ付きのストッパーにて固定し、眼鏡装用時の安定性を確保した。その眼鏡のデザインは患児に好まれ、装用後10ヶ月で、視力、中心固視および内斜視は著明な改善を示した。<br>新たに製作された眼鏡の外観は良好で、安価な作製費用で済み、既製の眼鏡装用困難な耳介の形成異常や位置異常、不随意運動を伴う症例にも有用な方法と考えられた。