- 著者
-
宇野 裕之
- 出版者
- 日本哺乳類学会
- 雑誌
- 哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.2, pp.327-335, 2011-12-30
- 参考文献数
- 22
2010年10月27日及び28日,ダンフリース州ドラムランリグ城においてScottish Natural Heritage(SNH)が開催したレクリエーション狩猟者のための研修会に参加した.この研修会は次の6つのパートから構成されていた.1)計画と生息地アセスメント,2)シカの行動,3)動物福祉と責任,4)衛生管理,5)協力関係(組織化)及び6)ライフル射撃である.これらの講師は,SNH,Forestry Commission Scotland(FCS)及びThe Deer Initiativeなどのスタッフが連携して務めていた.FCSは公有林における木材生産や植林,野外レクリエーション,野生生物管理など幅広い活動をしている.FCSのレンジャー及び雇用された職業狩猟者がシカ類の個体群管理と森林の保護を行っている.本稿では,スコットランドのシカ類管理の概要と狩猟者教育プログラムの事例を紹介する.日本には,シカ管理体制とシカ肉の持続的利用システムを確立することが求められている.シカ管理は森林管理の一環として位置づけられるべきだと考えられる.<br>