著者
木村 健
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
The journal of the Japan Society of Pain Clinicians = 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.40-43, 2012-02-25
参考文献数
10

帯状疱疹後神経痛の治療開始1カ月後に自殺企図を起こした1症例を報告する.79歳の女性で,帯状疱疹のために,急性期より強い痛みが持続し,不眠となっていた.鎮痛薬で痛みが軽減せず,副作用で日常生活動作が著しく障害されていたので,当科を紹介された.当科受診後,薬物による副作用は改善したが,痛みの治療に難渋した.神経ブロックによる治療を後日予定し,退院した.退院の翌朝に自殺目的で服薬し,意識が消失した状態で家人に発見された.本患者は,精神神経疾患の既往はなく,入院中に自殺念慮を示唆する明らかな言動はみられなかった.再入院後,頸部硬膜外ブロック,星状神経節ブロックを施行しながら精神科医による治療を受け,痛みは軽減した.高齢者の慢性痛患者では,自殺の可能性に留意する必要があると考えられた.

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