- 著者
-
加治屋 勝子
- 出版者
- Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
- 雑誌
- 化学と生物 (ISSN:0453073X)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.4, pp.269-276, 2012-04-01
血管がギューッと縮んで血流を滞らせる「血管の異常収縮」.脳血管で起これば脳梗塞,心臓の血管で起これば心筋梗塞や狭心症などの引き金となる.命に関わる病気だけではなく,頭痛や動悸,不整脈などの日常で見逃しがちな症状となって現われる場合もある.長年の謎である異常収縮の原因を突き止め,治療法を確立すれば,多くの血管病に苦しむ人を救うことができる.現在,様々な食品から血管病の特効薬成分が探索され,すでにいくつかの候補成分が見いだされつつある.ここでは,受賞テーマである治療薬開発の研究成果を中心として,発症メカニズムの最新動向と食品成分による血管病予防の可能性について解説する.