著者
角山 朋子
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.21-30, 2013-03-31

本研究は、オーストリア近代デザイン史を取り上げ、デザイン会社「ウィーン工房」(1903-1932 年)の設立から1920 年代初頭の活動の特徴を解明し、ウィーン近代デザイン運動の変容をあぶり出すことを目的とする。ウィーン工房は英国アーツ・アンド・クラフツ運動の影響の下に設立され、メンバーは「ドイツ工作連盟」(1907 年-)から派生した「オーストリア工作連盟」(1912-1934 年)工芸部門の中心的存在でもあった。1910 年代、ウィーン工房は深刻な経営難を克服すべく、当初の工芸改革の先鋭的理念を減じ企業的性格を強めた。第一次世界大戦後、オーストリア工作連盟では新国家のデザインの方向性をめぐり激しい対立が生じ、他方、ウィーン工房では戦前の趣味性を継承した芸術性と経済性の両立を試みる、市場を見据えた戦略的デザイン活動が展開された。20 世紀初頭の急速な社会的変化に対応しつつ、ウィーン近代デザイン活動における初期の工芸改革的テーマは、デザイン、芸術、経済活動をめぐる問題へと移行したのだった。

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編集者: Chuta
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