著者
木本 彩美
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, 2013-05-25

本症例では腫瘤と脛骨との分離が困難であり,組織学的に脛骨骨頭における腫瘍細胞の浸潤性増殖が認められた。また,不規則な形態の類骨が右膝関節の腫瘤のほか,肝臓や肺,および腎臓の腫瘤にも形成されていた。骨肉腫の特徴は腫瘍細胞が骨または類骨組織を直接形成することである。また,組織像はきわめて多彩で,同ーの症例でも部位によって種々の像を示すことが知られている。本症例においても正常筋組織との境界部から脛骨骨頭へ移行するにつれて,線維肉腫様の部分や鍍銀染色で箱入り像を示す部分など,様々な像が観察された。以上より,本症例を骨肉腫と診断した。わが国における鶏の骨肉腫の報告はきわめて少ない。不明な点が多々あるので,今後も症例数を重ね,検討を続けていくことが重要だと思われる。

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