- 著者
-
住田 亙
大島 一夫
- 出版者
- 日本臨床外科学会
- 雑誌
- 日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
- 巻号頁・発行日
- vol.74, no.9, pp.2522-2525, 2013-09-25
- 参考文献数
- 12
背景:先天性大腸狭窄症(本症)はまれな先天奇形である.今回,異物誤飲による大腸穿孔を契機に診断された多発性膜様狭窄症の1例を経験したので報告する.<BR>症例:症例は2歳女児.高熱,嘔吐を認め,総合病院を受診し,絞扼性イレウスで手術適応として当院に搬送となった.手術所見は,大腸に複数箇所の狭窄部位を認めた.下行結腸の狭窄部の口側で腸管が穿孔していた.穿孔部位からおはじきが摘出され,狭窄部位で引っ掛かり穿孔したと診断した.双孔式人工肛門を作成し,穿孔部位は単純閉鎖した.小腸には明らかな狭窄部位を認めなかった.現在は人工肛門を閉鎖し経過を観察している.<BR>考察:本症は非常にまれで,特に複数の狭窄部位を認めた報告は検索しうる限りない.異物の誤飲を経過観察する際,通常であれば通過する大きさであっても,本症を伴っていると通過せず穿孔をきたす場合もあり,経過観察の際に本症の存在も考慮するべきと考えられた.