- 著者
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村松 英子
- 出版者
- 山野美容芸術短期大学
- 雑誌
- 山野研究紀要 (ISSN:09196323)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.1, pp.29-33, 1993-03-25
今回平安朝における裳の役割について,『枕草子』と『紫式部日記』等を検証した。その結果次のように考察できる。(1)裳が長く変化したことは,着ている人の動作を著しく妨げ,機敏性を失わせた。(2)装飾と考えられていた裳は,公的な場合には着用者の立ち居振る舞いを,その裳を長く発展させたことにより,一段と公的にする効果を導き出させた。以上のことより衣服に付随する装飾のための裳は,着用者の極めて公的な雰囲気を醸し出す要素に発展し,重要な衣服の構成成分になったことが考えられた。