- 著者
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富田 知子
- 出版者
- 学校法人 山野学苑 山野美容芸術短期大学
- 雑誌
- 山野研究紀要 (ISSN:09196323)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, pp.9-18, 1997
ヘアスタイルは,毛髪を素材にして創りあげられた造形作品である。毛髪は人体の一部でありながら,時代の流れと共にさまざまに変化し続けてきた。人々は,変化する時代の美意識を表現するために,容易に変形することのできない人体の代わりに,衣装とヘアスタイルを最大限に利用してきた。そして時代の美意識は個性の奥底に大きく滲み込み,それを大きく時の色に染め上げて行く。それはまた時折加速度をつけることがある。1789年はヨーロッパにおいて,非常に重要な年であり,ファッションの分野でも,鮮やかな変化を見せる年であった。ひとつの時代の中で,様式-スタイル-が明瞭になりはじめると,そこにはルールと制限が生まれる。その中でも,美しさは個人によって表現され,さらには,美の表現の変化を生み,次の美式へあゆみ始めるのを見ることができる。今回は,その制約の中での美意識の変化と,その表現の方法について考察する。