著者
牛之濱 久代 宮薗 夏美
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.141-147, 2003-03
被引用文献数
1

本稿は,12世紀ドイツにあって女子修道院長をつとめ,独特の考え方に基づき医療・救済活動を行ったヒルデガルト・フォン・ビンゲン(Hildegart von Bingen)について,『自然学』(Physica)の中の「植物の書」及び『病因と治療』(Causae et Curae)を手がかりに,根本となる人間観・医療観・疾病観に焦点を当て,彼女の医療活動の現代における意義を考察したものである。その結果,ヒルデガルトの考え方の特徴は,人間を宇宙も含めた全体の中で捉え,すべてを連関するものと考えているということであり,これは,'90年代半ば頃よりめざましく普及してきた代替医療や,看護に見られる,人間を身体,精神,霊魂も含めた統一体として捉える人間観と共通するものであった。そしてホリスティック(holistic)な考えに基づく医療活動は,人間を心身両面から癒す行為,すなわち救済であり,看護実践において有益な示唆が得られるものでもあったので報告する。

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