著者
北本 朝展 小野 欽司
出版者
国立情報学研究所
雑誌
NII journal (ISSN:13459996)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.15-26, 2001-03-30

本論文は、日本(国立情報学研究所)とタイ(アジア工科大学)の国際共同研究として進められているプロジェクト、すなわち台風画像データの収集および台風情報データベースの構築に関する報告である。過去の統計データによると東南アジア地域は、北西太平洋で発生する台風の約3分の1が通過する。この危険地域における台風災害を防止し損害を軽減するためには、台風解析と予報という問題に徹底的に取り組むことが重要である。本プロジェクトのユニークな点は、この問題に対して気象学の手法に基づく従来のパラダイムではなく、情報学の分野で発展したアイデアや手法を援用した情報学パラダイムに基づき、台風画像の大規模コレクションを研究の土台として挑戦するという点にある。本論文ではこのコレクションを主に気象衛星 GMS-5「ひまわり」の衛星画像から作成する。ただし GMS-5 を用いて東南アジア地域を観測する場合、衛星画像の実質的な解像度が低下し、雲形状が歪むという欠点が避けられない。そこで本論文では、別の種類の衛星画像、すなわちタイで受信する NOAA 衛星画像を組み合わせることにより、お互いの欠点を補完しつつ高品質な台風画像が生成できることを示す。さらにこのような大量の衛星データをネットワーク経由で交換するための基盤として、日本とタイの間で運用される SINET 国際回線が有効であることを述べる。

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