著者
藤本 武
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.129-142, 2001-03-10

今日のドイツ的景観は再生と継続の思想に基づき18世紀中葉以後初めて設置された自然的文化遺産であり,自然の森再生と継続の思想は,先駆者シュトロマイヤーを受けて,18世紀カロヴィツと後継者たちによって,タキトウスの「ゲルマニアの森」再生を理念として基礎づけられ,19世紀ロマン派のクロプシュトックとクライストらが中心となり,この思想を祖国解放と近代的自由を目指すドイツ市民に訴え,深化発展させた思想形成の過程を第一章と第二章において論証する。この思想が現今に至るまでドイツ社会に継承されてきたことの証明を,第二次大戦直後1946年占領国イギリスのドイツ森林伐採計画に対する1947年のドイツとドイツ市民による森林保護答申,市民参加型社会による1970年代のニュールンベルク・ライヒスヴァルト保存運動と1980年代のヴァッカースドルフの森保護全国運動の三つのケースを,第二章後半,第三章と第四章に挙げて検証する。

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