著者
池田 かよ子 久保田 美雪 渡邊 典子
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.187-194, 2004-03-10
被引用文献数
1

携帯電話をもっている高校生304人(うち男子116人、女子188人)について、その使用頻度や目的、性情報の接触状況、性意識や性行動について調査を実施した。(1)携帯電話を持っている人は、男子より女子の方が6割と多かった。(2)携帯電話の使用頻度は、「かなり使っている」が男子4割程度であるのに対して、女子は8割と多かった。(3)携帯電話の使用目的では友達との連絡が多く、パーソナルコミュニケーション手段として利用していた。(4)性に関する雑誌やアダルトビデオなどの性情報では、携帯電話を持っている人の方が興味、関心が高く、接触している頻度も多かった。(5)性交に関する感じ方については、携帯電話を持っている人の方が「セックスは楽しいもの」「セックスは人間にとって大切なもの」と回答し、性交を肯定的に捉えていた。(6)性行動は、携帯電話を持っている人の方がより経験率が高く、性行動が活発化している。
著者
原田 留美
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.129-139, 2006-03-10

児童文学や映画等の児童文化財には、主要な登場人物が望ましい変化を遂げる成長物語が少なくない。アニメーション映画『ハウルの動く城』のハウルも大きな変化を見せるが、それは強くなる、賢くなるといった一般的成長イメージとは逆のものである。ハウルが抱える自己課題は、火の悪魔との契約により既に得ている強大な力を切り離すことによってしか解決されないからである。しかし、得るべきではなかった力を手放し元来の自分を取り戻す過程はハウルが望ましい形で生き続けていくために必要な変化であり、このように捉えるのならばこれもある種の「成長」と言えなくもない。この「成長」につながりうる変化は、心の支えである娘ソフィーとの関係が、当のソフィーにより逆転させられることによってもたらされる。登場人物の関係や成長の要素について、観客が抱きやすい固定化したイメージを逆転させた形で提示するところに、この映画作品の特徴があると考える。
著者
服部 潤吉
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.185-196, 2008-03-10

わが国では精神科病院において長期入院の問題が続いている。入院患者の特徴は統合失調症、長期入院、高齢者が多いことなどである。以前から、それらの人たちの受け入れ先としてグループホームの重要さが言われている。グループホームは単なる住居ではなく、自由でさまざまな支援と仲間がいることが特徴である。ここでは新潟県内の精神障害グループホーム調査から、そこでの障害者の特徴、支援の内容、課題などについて研究した。特に2005年から実施された障害者自立支援法後も、精神障害者の生活を支えるものとなっていないばかりか、むしろより困難な状況になっていることがわかった。今後の課題について考察する。
著者
久保田 美雪 渡邊 典子 小柳 恭子
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.189-200, 2005-03-10

新潟県内の高校生にライフスタイルとして人的側面、物的側面、金銭的側面、性意識および性に対する対処行動の調査を実施し、性交経験の有無別に検討した。その結果1人的側面として、普段の遊び相手として「彼氏・彼女」と答えたのは、経験者のほうが高く、さらに経験者の半数は現在、交際相手が1人いた。2物的側面として、「携帯電話・PHS」の所有は経験者のほうが高く、有意差が認められた。3金銭的側面として、小遣いの金額は経験者のほうが高く、「飲食代」「洋服・靴代」が主な使いみちであった。4女性がコンドームをつけてということに関する意識として「安心してできる」は経験者のほうが高く、有意差が認められた。5性に関する悩みやトラブルへの対処行動として「友人に相談」は経験者のほうが高く、有意差が認められた。6経験者504人の初交時の状況は、男子は「自ら望んだ」、女子は「望んだわけではないが自然の成り行きで」が最も高く、避妊方法で最も多いのはコンドームであった。
著者
藤野 ヤヨイ
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.201-215, 2005-03-10
被引用文献数
2

我が国における精神障害者に関する法制度の変遷をたどり、精神障害者が歴史的にどのように処遇されてきたかを明らかにする。精神障害者処遇の法制度は1900年に制定された精神病者監護法にはじまり、現在は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に至っている。その間、精神衛生法、精神保健法と名称も変化した。その変化は、精神障害者処遇の歴史でもある。この研究では、文献から法改正の背景と改正による患者処遇の変化、そして、その問題点を明らかにする。
著者
中村 恵子
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.167-176, 2007-03-10
被引用文献数
1

構成主義の考えは、現在、教育の文献に浸透している。構成主義は、学習理論、教授技術、一般的な教育学のアプローチを特徴づけるために用いられる。構成主義は、知識はいつも人が構成するものであることを意味する。構成主義は、生徒による積極的な参加を促進する必要性を強調するものである。構成主義の2つの主要なタイプ-心理学的構成主義と社会的構成主義-には、重要な教育的な意味がある。心理学的構成主義は、個人の学習に焦点を合わせる。「分析の単位」は、個々の知る人である。しかしながら、社会的構成主義にとって、正しい単位は社会的な集団または文化である。心理学的構成主義と社会的構成主義を比較することによって、構成主義における学びの理論を明らかにすることができる。
著者
藤本 武
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.283-300, 2004-03-10

この論文の第一部では、一神教の「シェキナ」における「霊の内在」解釈の変遷を述べ、次にハイデッガーの存在と存在者につての存在論的解釈とドゥルーズの存在論的差異論の視点に立って、「霊の内在」を解釈し、「シェキナ」が「神の内在」ではなく「霊の内在」であることを明らかにする。更に「シェキナ」が、霊が自己の神性を無化し、民の「痛み」に共苦し、同行する思想を持つ霊と民との制度的現実的「痛み共同体」であったことを、解明する。第二部では、古代日本の「依り代」における「神霊の内在」と「依り代」の構造とが一神教の「シェキナ」に極めて類似していることを解明し、「依り代」から考察される古代日本人の「痛み」理解につぃて論及する。一神教の「痛み」が人間の根源であるとするのに対して、古代日本の「痛み」は人間の現象であるとされていることにより、人間への救済である「依り代」共同体は聖性を維持し、聖性の無限大化によって「痛み」の除去を達成しようとすることを、比較文化論的に考察する。最期に、諸宗教の絶対性ではなく、諸宗教の独自性を確立し、宗教的多元主義と諸宗教間の対話のための試みの一端であればという願いがこの論文の目的である。
著者
吉田 堯躬
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-15, 2005-03-10

日本の公的年金のうち,厚生年金及び国民年金はそれぞれ厚生年金特別会計及び国民年金特別会計の中にある年金勘定及び関連勘定において管理されているが,その年金資金の管理は単年度予算主義に基づく年度予算(事務費及び事業費)の執行と分離されておらず,年金資金の長期及び中期の資産運用において本来必要な自主性を失っている.そのため生じている問題点として1.年金の積立金と年金の将来債務との対比の無視2.年金資金運用と年度予算の混同 3.年金資金の運用利回り不足の未処理4.年金勘定と業務勘定間の不合理な資金整理 5.年金勘定の出資と特別保健福祉事業資金繰入れ6.厚生年金基金の解散及び共済年金の統合にともなう債務増加の非掲示改訂を指摘した。
著者
半藤 保 間部 佑子 柳瀬 徹 倉林 工
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-7, 2008-03-10

2001年1月から2006年8月までの5年8ヶ月間の新潟市民病院産婦人科における診療録の後方視的調査から以下の点を明らかにした。1.Rh血液型不適合妊娠は妊産婦2,988例中29例(0.97%)で、このうちRhD単独陰性は14例(0.47%)、RhDと他のRh因子との複合陰性3例(0.10%)、合わせてRhD陰性は17例(0.57%)であった。2.臨床的に問題となったのは、RhD,RhC陰性例にはなく、RhE陰性9例中の5例であった。これらの5例はいずれも妊娠中に抗体価の上昇を認めた。また、その中から生下時、児が直接クームステスト陽性を示したものが3例あった。3.直接クームステスト陽性3例はいずれも光線療法、ならびに1例には妊娠母体への抗Rhヒト免疫グロブリン投与がなされたが、交換輸血施行例はなかった。4.妊娠中、初めて抗体価の上昇を認めたのは、1例は妊娠18週、他の1例は妊娠21週であったが、いずれも既往分娩歴があり、それのないものでは妊娠30週であった。5.今回のシリーズに高度の新生児溶血性疾患は認められなかったが、文献的には経妊回数の増加に伴って抗体価上昇を示す割合が高くなり、また、輸血は勿論既往妊娠歴が全くなくても新生児溶血性疾患をきたすことがあることを念頭に、Rh血液型不適合妊娠に対処しなければならない。
著者
原田 留美
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.149-163, 2008-03-10

今回も、新潟青陵幼稚園の平成17年度年間指導計画の素話部分を分析した。研究の目的は、素話の際の昔話選定の手がかりを見つけ出すことである。分析、考察の結果、同系統の昔話においては、物語構造を比較することで、物語の難しさが客観的に比較できることが確認できた。また、笑いの要素やスリリングな要素が含まれているもの、由来の要素が含まれているもの、または物語展開を促すある種の論理が認められるものなどは、年長児によりふさわしい物語であることも確認された。
著者
河内 浩美 渡邊 典子 小柳 恭子 久保田 美雪
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.139-148, 2008-03-10
被引用文献数
1

思春期にある子ども達の性に関わる行動が問題視されている。その解決策のひとつとして家庭における会話が重要であるといわれている。そこで、A県内の中学校で実施された親への性に関する出前講座への参加者およびその配偶者346人に無記名自記式質問紙調査を実施した。そのうち有効回答を得られた中学生の子どもを持つ親148人を分析対象とし、会話あり群と会話なし群に分け比較検討した。結果は、会話あり群の73人(父親10人、母親63人)、会話なし群73人(父親22人、母親51人)であった。子どもから体や心の相談があったとしたのは、会話あり群73人中57人(78.1%)、会話なし群73人中35人(47.9%)であり、会話あり群の方が有意に高かった。子どもの体や心について気になったり悩んだりしたことがあるとしたのは、会話あり群73人中47人(64.4%)、会話なし群73人中48人(65.8%)であった。
著者
平川 毅彦 土橋 敏孝 武田 誠一
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.11-18, 2010-03
被引用文献数
1

本研究は新潟市中央区に居住する55 歳から59 歳の男女を対象としたアンケート調査データに基づき、これから高齢者となる世代をいかにして「元気高齢者」にしていくのか、その課題を検討したものである。調査結果から以下のようなことが明らかにされた。65 歳以降の生活で、「収入」「自分の健康や病気」「家族の健康や病気」に不安を持っている。現在の生きがいは「友人との交流」「家族との団らん」「就労」が中心で、65 歳以降は「友人との交流」「家族との団らん」「趣味のサークル活動」を想定している。地域生活に関しては、近隣と「あいさつを交わす程度」であり、半数近くが地域活動に参加したことがない。65 歳を迎えたその日から「高齢者」に、そして地域に貢献する「元気高齢者」となることは不可能である。しかし準備段階世代のデータを見る限り、現時点における地域社会との関係性は強いものではない。「元気」、更には地域社会の在り方そのものに関する議論も含めた検討が必要である。
著者
佐々木 祐子 安田 智美 八塚 美樹 田澤 賢次
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.133-139, 2003-03-10
被引用文献数
1

本研究では,スイートオレンジ精油の吸入が人に及ぼす影響を,自律神経と心理面の両側面から検討した.被験者は健康な若年成人女性15名とし,影響評価の指標として,自律神経系に関してはストレスアナライザーを,心理面に関しては日本語版感情プロフィール検査(POMS)と官能評価(評定法)を用いた.その結果,ストレスアナライザーではストレス負荷前後でコントロール群,アロマ群共に導電率,静電容量で有意な減少を確認することが出来た.また,コントロール群とアロマ群の間については有意な差は確認できなかったが,静電容量においてアロマ群は減少傾向にあった.次にPOMSに関しては,ストレス負荷前後においてコントロール群は「活気」と「抑うつ」に有意な差がみられた.これに対してアロマ群では「抑うつ」のみ有意な変化がみられ,「活気」に関しては有意な差がみられなかった.最後に官能評価においては,スイートオレンジを「好き群」と「どちらでもない群」では「気分が休まる」,「快い」の項目で差がみられ,嗜好の差によって違いがみられた.
著者
柄澤 清美
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.115-132, 2003-03-10

浴風園は、1927年に恩賜財団浴風会によって設立された養老施設である。浴風園は、恩賜財団の豊富な資産をもとに内務省直轄の運営が行われ、当時としては質の高い養老施設とされていた。しかし、これまでの浴風園の評価は、社会福祉的視点からのものが多く、医療についての評価が不十分であった。今回の論文は、浴風園における、高齢者医療保障前史ともいえる医療を看護学的および経済学的に分析したものである。まず、浴風園がどのような社会的必然性によって設立されたかをふまえ、それによりどのような医療システムを作ったかを論じた。それから、医療の展開過程を分析した。すなわち、老人の医療ニーズおよび看護ニーズがどのように明らかにされ、それにどう対応したかについて論じた。また、尼子富士郎の老年医学研究の業績について論じた。そして、それらをふまえて、浴風園における医療活動を高齢者医療保障前史として位置づけた。
著者
半藤 保 川嶋 友子
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.53-59, 2009-03-10

2006年に18〜23歳の女子大生298人を対象に無記名、選択肢方式、一部自由記載方式からなるアンケート調査を行い、BMIによる体型と痩せに対する願望を調査して以下の点を明らかにした。1.体型についての自己認識では、痩せ群の22.5%、また、普通群の77.6%、肥満群の100%は太っていると答えた。2.現在の体型に満足しているものはわずか15.8%にしか過ぎず、痩せたいものが82.9%に及んだ。このうち、痩せ群の32.5%、普通群の92.4%はもっと痩せたいと答え、痩せ願望の実態を浮き彫りにした。3.痩せたい理由は、おしゃれがしたい(34.8%)、痩せていた方が可愛い(23.2%)、健康のため(20.2%)で、そのほか人によく見られたい(12.1%)などが続いた。4.痩せるためのダイエットは、普通群で63.2%、痩せ群で40%が経験していた。ダイエットの内容は食事制限、間食しないのほか、運動、筋トレ、ウォーキング、ランニングなどがあり、ダイエット薬を内服する者もいた。ダイエット実施期間は1か月以上が、経験回数は2〜4回がもっとも多かった。以上より、必要以上の痩せに走らないようこれらの女子大生に体型について正しい認識をもたせる教育が必要と考えられた。
著者
藤本 武
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.129-142, 2001-03-10

今日のドイツ的景観は再生と継続の思想に基づき18世紀中葉以後初めて設置された自然的文化遺産であり,自然の森再生と継続の思想は,先駆者シュトロマイヤーを受けて,18世紀カロヴィツと後継者たちによって,タキトウスの「ゲルマニアの森」再生を理念として基礎づけられ,19世紀ロマン派のクロプシュトックとクライストらが中心となり,この思想を祖国解放と近代的自由を目指すドイツ市民に訴え,深化発展させた思想形成の過程を第一章と第二章において論証する。この思想が現今に至るまでドイツ社会に継承されてきたことの証明を,第二次大戦直後1946年占領国イギリスのドイツ森林伐採計画に対する1947年のドイツとドイツ市民による森林保護答申,市民参加型社会による1970年代のニュールンベルク・ライヒスヴァルト保存運動と1980年代のヴァッカースドルフの森保護全国運動の三つのケースを,第二章後半,第三章と第四章に挙げて検証する。