著者
佐藤 達郎
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.199-212, 2004-03-06

今回は、揚雄に続いて後漢の崔[エン]・胡広の官箴を主に扱う。それら後漢の官箴は、揚雄の創始したスタイルを基本的に踏襲しながら、内容・表現の上でいくつかの変化が見られる。晦渋な揚雄官箴に比べ、後漢の官箴は比較的平明で、具体的史実をふまえた表現の多いことが特徴としてまず挙げられる。中でも、漢代の事跡・制度が引き合いに出されることが多いのは、時代の上で当然としても興味深い点である。さらに漢代の制度を取り上げつつ、それを周制になぞらえようとする志向の間々見られることにも注意される。また典故について見れば、今文から古文への転換の見られつつあること、讖緯の影響の見られることなどが、やはり後漢の学術・思想界の動向を反映した点として、指摘できるであろう。これらの点は改めて論考篇で考察することとし、本訳注はこれを以て終了する。

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