著者
野崎 勝利
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.129-155, 1989-07

日本南極地域観測隊あすか観測拠点(71°31′S, 24°08′E)の主要建物は, 大陸氷床上の斜面下降風帯に, 木質系パネル組立て構法で建設されている。年平均風速12.8m/sの強風にさらされたこれらの建物は, 周囲に発達したスノードリフトのために雪面下に埋没しつつある。これらの観測用建物の居住環境に関する性能評価を目的として, 発電棟風上側外壁の熱通過量の観測を行い, 強風との関係を検討した。その結果, 外側の熱伝達率は風速の増加に従って増す傾向にあることが確認できた。しかしその熱伝達抵抗はパネル個体の熱伝導抵抗の約1/100であり, このような強風下であっても外壁全体の熱通過率に対しては無視できる大きさであることがわかった。さらに本論では建物全体の暖房効率に大きく影響する換気および隙間による通気量を, 暖房エネルギーの消費量から概算によって推定し, これが風速の2乗に比例することを確かめた。

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